2009年11月19日

 医療費と医師数養成の大幅増を掲げ医療界の期待を集めて民主党政権が誕生して2ヶ月。
 ここにきて長妻昭厚生労働大臣が「出来る限りネットでの上昇幅抑制」発言をするなど雲行きがおかしくなってきている。
 目に見える形で雲行きが変化したのは、事業仕分け会議がきっかけ。
 削減を目的とする会議だから、「刈り込み」が先行することになるのは否めない。
 かくてOECD並みの医療費水準への引き上げを高らかに謳いあげた選挙公約は、姿を消した。
 代わって台頭してきたのは、病院・診療所間の医療費配分の見直しや、診療科間の格差是正、薬価の大幅引き下げなど。
 仕分け人の中には、一度は歴史の表舞台から消えた「薬価参照方式」を持ち出す者まで登場した。
 この10年来の財務省の主張が全面的に登場している。

 医療崩壊の大きな要因として医療費削減を指摘したのは、民主党にとって年来の主張を、実は基本転換させたことを意味している。
 それどころかOECD並みの医療費水準への大幅引き上げを謳ったため、少なくとも医療界は好感を持って迎え、民主党政権下での医療再生を強く期待した。
 その際、マニフェスト通りの高い改定率になるかどうかは別に、少なくとも相応のプラス改定となることを誰も疑いはしなかったのは、ほぼ間違いあるまい。
 この点について財源確保を切り口に冷静な分析と見方をしていたのは、4年後の総選挙勝利を経て本格化することになると観測していた二木立日本福祉大学副学長など一部である。
 なお二木副学長は、民主党の医療政策が今後再転換する可能性にさえ早々と言及していた。
 それにしても、こうまであっさりOECD水準論を引き下げるとは誰も思わなかっただろう。

政権交代後はっきりした医療政策方針
示さなかったすき間突かれる?
 皮肉ではなく公約通りに物事が進まない、矛盾が現れたとしてもおそらく誰も民主党を責める考えは持ち合わせなかったと思われる。
 ただし基本原理を貫こうとする一線は堅持すると考えていた。
 医療界を落胆させているのは一転して低率改定の可能性が高まってきただけにあるのではない。
 基本原理そのものが揺らいだところで医療再生の期待を託すことができるのか。
 このことによる落胆は決して小さくないのではないか。
 政権交代後はっきりした医療政策方針を示さなかった、あるいは基本指針が未確定なすき間を突かれたのが転換劇の要因でもあろう。

財政優先政策による医療崩壊から
医療再生へ転換すること
 改めて主張したい。
 今、必要なのは財政優先政策の結果により発生した医療崩壊にストップをかけるだけでなく医療再生への転換である〔11月14日配信MRIC by 医療ガバナンス学会臨時vol.338号掲載 評論家/下財務官僚の村上正泰氏の論考から)。
 それは可能な限りの高率改定であり、その逆ではない。

 (注) 『現代思想』10月号に掲載された二木立日本福祉大学副学長の民主党の医療政策についての論考を併読いただければ幸いです。



mediwel at 14:23コメント(0) この記事をクリップ!
●行政ウオッチ