2009年07月03日

 「北海道札幌市の『障害者施設等入院基本料 10対1入院基本料』(1病棟54床)を算定している病院が、次回診療報酬改定への対応や病院経営の戦略として、障害者病棟の差別化を図っている。その戦略とは人工呼吸器を増設し、『人工呼吸器を着けた患者ならば同院』という意識を地域病院に持ってもらうというブランディングを行っている」という記事を以前に掲載しました。
 同院は昨年人工呼吸器を5台から14台に増設しました。それを今年6月までにさらに6台増やし、合計20台としました。しかもそれを40台まで増やそうと計画しています。その上で障害者病棟をもう1病棟(50床前後)算定し、計2病棟で運営する計画を立てています。そして同じ2つの障害者病棟でも人工呼吸器を装着しなければならない患者群と、そうではない患者群を選別します。つまり障害者病棟において、人工呼吸器装着の専門特化した重度の患者と、軽度の患者の2つの病棟を形成しようとしているわけです。
 なぜそのような戦略を取るかといえば、同院が障害者病棟、特に人工呼吸器装着患者に対してのケア・療養環境に対する信頼を、他病院から勝ち得たということがあげられます。そのため人工呼吸器装着患者の受け入れに対する問い合わせが日に日に多くなっていることがあります。例えば患者が札幌市で治療を受けたいということで、釧路市の病院からも受け入れ依頼などもあるほどです。このような対象患者の増大のため検討となりました。同院では人工呼吸器の患者ばかりでなく、障害者病棟の該当患者も存在するからです。
 また仮に障害者病棟を増やすにしても、同じ『障害者施設等入院基本料 10対1入院基本料』を算定することになるので、看護師の傾斜配置も可能になります。しかも病棟の患者群に重度・軽度の強弱をつけることが前提なので傾斜配置もスムーズになり、看護師を効率的に配置できるとしています。

 

認知・周知こそが生命線
 しかし障害者病棟の差別化を図り、将来を見据えた戦略を打ち出す同院事務長にも懸念があります。それは同院の専門化・差別化を参考に、近隣病院が同様の手法をとるケースが散見されはじめたからです。端的に言えばライバルが現れたわけです。そのため同院では『人工呼吸器装着患者』を積極的に受け入れていることを告知するチラシを作成、また病院紹介のDVDも同時に作成し、近隣医療機関はもちろん道内の関係医療機関に配布して認知されようと努力しています。もちろん地域連携室の強化も怠りません。
 このように障害者病棟を算定しているのみでは、もはや病院の差別化の有効な手段にはなりえないかもしれません。算定後にこそ様々な戦略が必要なのでしょう。
 【コンサルティング事業部 関原】



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