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 129日中医協総会に「個別改定項目について(その1)」が提出され27日の次回改定に向けた最終取りまとめ=答申へと次回診療報酬改定は大詰めを迎えています。個別改定項目、いわゆる「短冊」は次回改定への議論の集約であるとともに今後の改革の基本方向性を表現するものです。その視点から見ると次回診療報酬改定の大きなポイントは、「常勤神話」から医師をはじめとする医療人と医療機関の意識の「脱却」と「開放」、また「疾患治療に留まらない全身状態改善」へと継続した過程(病期間)をチーム医療体制として兼ね備えて欲しいというメッセージがクッキリと示されていると私は読み取っています。

 

「常勤神話からの脱却」とは何か

 

 「常勤神話からの脱却」とは多くの皆さんにとって聞き慣れない言葉かもしれません。

 「常勤勤務ができるかどうか」この点で復職したい「医師」「看護師」「リハ職種」等の多くが残念ながら医療・介護の世界を去っていく構造がつくられています。

 大きく立ちはだかっていた要因の一つは各種施設基準における常勤規定の高いハードルです。

 このため復職支援したい医療機関からみると「採用したいのはやまやまですが……」という言葉で本意とは裏腹の結果を生み出していることが私個人の知るケースでも少なくありません。

 今回ここに大きな風穴が空こうとしていることを医療人を含む医療関係者、医療機関に知っていただきたいと思います。

 それは次の表現です。

 

「なお、週3日以上常態として勤務しており、かつ、所定労働時間が週22時間以上の勤務を行っている非常勤の薬剤師を2人組み合わせることにより、当該保険医療機関における常勤薬剤師の勤務時間帯と同じ時間帯にこれらの非常勤薬剤師が配置されている場合には、これらの非常勤薬剤師の実労働時間を常勤換算し常勤薬剤師数に算入することができる。ただし、常勤換算し常勤薬剤師数に算入することができるのは、常勤の薬剤師のうち1名までに限る。」

 (129日開催中医協総会提出資料「個別改定項目について(その2)総-3」P28、以下本稿での頁数は本資料による)

 施設基準によって加筆される表現などがありますが、基本的にはこうした常勤要件の緩和が次回診療報酬改定では「緩和ケア診療加算(P17)」「障害児()リハビリテーション料(P18)」「特定集中治療室管理料(P30)」「入退院支援加算1(P35)」「麻酔管理料()(P41)」「地域包括診療加算1(P56)」などに散りばめられています。

 

 「常勤採用は難しいが非常勤なら採用の可能性が広がる」という医療機関は少なくないと思います。「常勤神話」から解放された【週3日勤務歓迎】といった募集広告に変えていく積極的なアピールが将来の常勤勤務確保を期待できるのではないでしょうか。

 

「潜在医療人の固定化=離脱」状況の放置から
潜在医療人へのアピールが義務付けられている感覚を

 

 その意味から次回診療報酬改定とともに医療機関あるいは医療人に期待され義務付けられていることの一つは「潜在医療人の固定化=離脱」状況の放置から常勤緩和の方向性をアピールしていくことだと思います。

 人材紹介を主たる業務とする弊社は、そう判断し既に社内の意思一致の研鑽を進めています。

 

 さて、「週3日」等の記載から、容易に次の事が想像されると思うのです。

 「土日勤務が採用要件にしないで済む」ということです。
麻酔管理料()を持ち出すまでもなく女性医療人の復職の可能性を広げる効果が期待されています。

 

常勤要件緩和の形で備えてほしい

診療機能の提起がされている

 

 同時に医療機関には、「兼ね備えて欲しい診療機能とは何か」を明示している事実にも関心を示していただきたい。

 「病棟薬剤業務実施加算」及び「薬剤管理料指導料」を例にとると、「兼ね備えて欲しい診療機能」を最優先に考えた常勤要件緩和であることも明らかです。 

 また、注意深く個別改定項目を見ていくと、「治療が全て」といった急性期医療評価の域を脱却し、生活の再構築を視野に入れた「全身状態の改善」に向けた「多職種総力体制」とも言うべき医療介護提供の形を作っていきたいという政策意思を読み取ることができるのではないでしょうか。

 

栄養サポートチーム加算等の算定可能病棟類型拡大

精神科外来多職種相談・支援指導評価新設の意味は

 

 詳細な紹介は割愛しますが「栄養サポートチーム加算」の算定可能病棟類型の拡大をはじめ精神科外来の「多職種相談支援指導評価」新設の意味は、「病期間の継続した医療介護の提供」「全人的医療の実施体制への転換促進」という強い政策意思を示しているのではないでしょうか。それはむしろ政策主体以上に臨床現場実践から積み上げられた地域包括ケアネットワークの具体化に向けた現場発信のエネルギーに他ならない、私はそう感じています。 

 残念ながら少なくとも次回同時改定に伴う病棟類型再編、それまでに診療実態に基づく「ふるい分け」を進めていくまでは入院基本料の見直しは望めそうにありません。

 だからこそ「将来存続するための診療体制」は何か、「人材確保を含む提案が医療機関になされる改定」それこそが次回改定ではないか。

 今私はそう感じています。

 

 本稿の締めくくりに、この数年間の常勤要件緩和に払われた全日本病院協会、日本病院会、日本医療法人協会、日本慢性期医療協会等の御尽力、そして御理解をいただいた支払側委員の皆様、事務局担当の厚生労働省の皆様の労に深謝したいと思います。

 

 

202023

株式会社メディウェル顧問 古川俊弘

  ※本稿は社内向けに速報としてまとめた原稿を基本に加筆等を加えたものです。介護医療院転換に伴う不安を吐露された先生方や、常勤要件緩和の動きについて127日時点で議論させていただいた理事長はじめ多くの皆様に感謝申し上げます。

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