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精神科病院経営基盤確立への配慮期待
病床数適正化実行と他科支援・連携機能強化を

 9月11日中医協総会が開かれ「横断的事項について【その1】」という形で来年4月に迫った診療報酬改定に向けた第2ラウンドの議論が始まりました。

 当日その場に居合わせていないので資料に基づく話題提供となるのですが、個人的に注目した領域の一つは精神科における医療提供体制をめぐる方向性です。

 詳細な検討は割愛しますが、精神科医療では「地域移行を進める精神病棟評価」という形で精神科許可病床数の見直し・検討を期待する方向が示唆されるとともに、小児精神医療評価と対応機能の拡充の必要という社会要請を背景とした全世代対応型精神医療提供体制の促進を目指す方向性が示されたという印象を受けました。後者は全世代対応の必要性に基づく精神科外来機能の充実を期待していると感じています。


精神科病床稼働率85%、医業収益率1.9%基本の

精神科病院経営のあり方とは


 地域移行機能強化病棟入院料に触れるためにも押さえておきたい事項があります。

それは精神科入院医療の「稼働率」と「経営」の両面からみた基本状況の理解であり、そこから期待される精神科病院経営の方向性とは何かという問題意識です。

 最新の公開データによると本年5月末日の病院精神病床の病床稼働率は85.1%です。90%を割り込んだのがついこの間であったこと、かつては100%を超えていた事を記憶する方は改めて精神医療を取り巻く状況の変化に思いを馳せられるのではないでしょうか。


 経営の面からは何を押さえておく必要があるでしょうか。

 それは医業収益率が1.9%と療養病床(4.7%)と比較して2.8%も低い事実です(「平成29年度 病院の経営状況について」より)

経営状況の悪化が伝えられる療養病床と比較してこれだけの違いが表面化しています。

一般的に経営の再生産を可能とするためには3%以上の利益率確保が必要とされている事を照らし合わせても経営実態の厳しさは歴然としています。

 この数字は独立行政法人福祉医療機構が本年3月12日に公表した「平成29年度 病院の経営状況について」に基づくものです。

 同レポートは、さらに精神15対1算定精神科病院の医業利益率が低めであり、救急・急性期対応の医業利益率は4.5%と高いこと。ただしこの場合赤字病院の割合も高く一概に判断できない実態の存在にふれています。


 以上のことは何を示唆しているでしょうか。

 一つには精神科領域における急性期診療報酬評価について精神科急性期治療病棟の看護職員配置基準が「13対1以上で稼働率80%超を確保できるかどうか」で急性期対応精神科病院の経営分岐点が存在すること。15対1については長期療養の性格が強く病床稼働率90%を下回ると経営収支上厳しく、病棟類型の見直しが迫られることを示唆しています。

 さらに見逃せないのは人件費比率の上昇です。

 個人的に意見交換させていただいている精神科病院の経営管理職の方たちから異口同音に指摘されているのは看護補助者確保がこの数年全く望めないこと。このため看護職員をみなし看護補助者として病棟運用を図っているという声です。

 このことは二重の意味を持っていると私は考えています。

 一つ目は、人件費比率を上昇させていく事実です。

 二つ目は、そうした看護職の多くは高齢であり既に定年延長、継続雇用によって労働力の確保が可能となっており65歳をきっかけに一斉に退職される可能性が高いことです。

 この二つの事実は一般病床、療養病床でも同様に現実の事態と私は感じています。


実際の病床稼働率に対応した病棟数・許可病床数

見直しは急務。地域移行機能強化病棟継続を


 以上から私は精神科病院にあっては次の経営戦略が急務であると感じています。

 それは「実際の病床稼働率に対応した病棟数・許可病床数の見直し」です。

 具体的には「地域移行機能強化病棟」の積極的検討です。

 病床稼働率が90%を割り込んでいるだけでなく入院患者に占める70歳以上患者の占める比率が70%を超えている場合は特に急がなければならない状況にあると考えられます。


 日本の人口当たり精神病床数は国際比較からみても際立って多く、治療薬などの進歩を背景に新規入院患者の入院期間は本当に短縮されています。


 そのためにも来年3月末をもって「廃止」となる制度設計がされている「精神科地域移行機能強化病棟」の継続を切に訴えざるを得ません。

 おそらくその方向に動くと期待していますが、介護医療院制度創設と比較して臨床現場からの声が不足しているのではないかと私は杞憂しています。


外来機能拡充にもっと眼を。精神科医、PSW中心に

他科医療・介護機関等との日常的地域連携が望まれている


 そうした意味から、二次予防を含む「地域社会での予防」、「重症化予防」の側面から精神科医・PSWなど多科医療機関、介護保険施設サービス事業者との日常的地域連携が必要である事を強調したいと思います。

 その理由の一つは、特に高齢者にみられる睡眠剤の「普及と日常的服薬の常態化」の是正が必要なことです。精神疾患を背景とした内科疾患が多いという事は少なからず精神科医の皆様が指摘されています。

 しかしその指摘に留まっていては、事態は何一つ改善されません。

 地域包括ケアネットワーク推進の担い手として精神医療関係者が地域から見える存在となっていくかどうか、先駆的試みをされている取り組みに学びながら行動に移すことが経営として必要であり、地域からも強く期待されている事を私は強く訴えたいと思います。


2019年9月13日

株式会社メディウェル顧問 古川俊弘


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