不可解な要介護認定の見直しなどが注目されがちな介護報酬改定。
 一見、忘れがちですが今回の介護報酬改定の大きな特徴のひとつは、リハビリテーション評価です。
 それは短時間デイケアの創設と短期間集中リハビリテーション評価の引き上げに象徴されています。
 また大たい骨骨折に続き地域連携診療体制評価の対象となった脳卒中にしても継続したリハビリテーション対応を強く期待するものです。
 三者に共通するものは何でしょうか。
 それは病期の変化に対応した連続したリハビリ提供に対する期待です。
 では、それに対応できるリハビリ提供体制となっているのかどうか。
 問われるのは、この点です。

 例えば回復期リハビリ病棟を退院し外来リハビリに移行した患者は、とのような対応がされているのか。
 状態がよくなった時点で、治療完了で片付けているケースがリハビリの場合、多くないでしょうか。
 定期的な外来診療はあっても生活機能の変化など、いわゆるリハビリ評価は平行してされているのかどうか。
  きわめて疑わしいといわざるを得ません。
 その点が問題とされずに標準算定期間範囲内なのにリハビリ算定をしていないことが経営的に問題というような取り上げ方がせいぜいされているのに留まっているのではないか。
 「算定日数期限内なら外来リハビリ」というのではなくて、外来リハビリの重要な役割は運動(生活)機能の維持・改善ばかりでなく、定期診療の継続による状態変化の早い段階での把握にこそあります。
 そして迅速に短期間集中リハビリの提起と実行できる医療提供体制をつくりあげているかどうか。
 そのことが対患者・家族に対する専門性の基本ミッションとして求められているのではないでしょうか。
 新たな身体状態に対応した生活機能の再構築や生活リズムの組み立て方の共有、状態によっては訪問・通所サービスパッケージの接続あるいは施設入所サービスへの接続というコンサルテーション機能こそが期待されています。

 

退院後リハビリ相談などは
医療機関でされている?

 しかし実態はどうでしょうか。
 退院後の外来受診でリハビリ相談などはされているでしょうか。
 少なくとも医療保険の世界では乏しいのではないでしょうか。
 今回、介護報酬改定で居宅療養支援対象に訪問看護ステーションの相談対応などが新設されました。
 リハビリテーションに認められていないのはなぜでしょうか。
 そうした実態がないためにほかなりません。
 残念ながら生活の場に視点の届かないリハビリテーションが依然として中心となっている実態の反映なのかもしれません。

 そうしたあり方に甘んじていて良いのか。
 これからのリハビリ評価、とりもなおさず専門性を期待される相談、指導評価の拡大を実現できるかどうか。
 そのことをリハビリ職種に鋭く問う改定、それが今回の介護報酬改定の一面であり、次回診療報酬改定につながる問題でもあると感じています。
 その点を抜きに医療保険と介護保険の橋渡しは難しいのではないでしょうか。
 (本稿は、3月7日、札幌市内で行った北海道理学療法士会マネジメント研修会での講演を基本としています)