2009年06月12日

■病院M&Aの病床取扱

 複数の病院を有する医療法人が、別の医療法人と法人合併することになりました。その際に当該病院理事長が編集部に相談を持ち込んできました。「法人合併する病院は180床有しているが、実際に稼動しているのは120床、1病棟60床は現在休床している。しかし老朽化が激しい同院を、同じ二次医療圏内の別地域での移転新築を考えている。その際に180床をフル稼働させたいが可能か」とのことです。つまり法人合併後に現在休床している病床部分も活用できるのかというのが相談内容です。ちなみに同院はオーバーベッド地域にあります。

法人合併の場合
 結論から言いますと、全く問題はありません。
 法人合併の場合は、合併する病院の権利・義務すべてを引き継ぐことになります。当然借財等も引き継ぐことになります。よって病床に関しても実際に稼動しているか、していないかを問わずに引き継ぐことになります。これは合併する施設が病院であっても診療所であっても同様です。この件に関する通知があります。以下に紹介します。

 医政発第0720003号『医療計画について』(平成19年7月20日)の『8 都道府県知事の勧告について』
(4)病院又は診療所の開設者に変更があった場合であっても、その前後で病床の種 別ごとの病床数が増加されないときは、勧告は行わないこと。
(5)病院又は診療所が移転する場合であっても、その前後で、その病院又は診療所が存在する二次医療圏内の療養病床及び一般病床の数並びに都道府県の精神病床、結核病床又は感染症病床の数が増加されないときは、勧告は行わないこと。

 この通知に関する開設者変更は、法人合併の場合も当てはまります。

施設(土地・建物)のみ売買の場合
 今回の質問で提起されていた問題、休床している病床に関しての取り扱いが問題になるのは施設(土地・建物)売買の場合です。これは法人合併とは異なり、法人資産の一部が売買の対象になります。例えば土地・建物を売買した場合、そこに病床に関する取り決めは通知等ではありません。というのもそもそも病床に関する権利(いわゆる病床権)なるものは存在しないからです。そのため本来なら純粋な土地・建物の売却となります。その際に現に入院している患者が追い出されるなど、患者の利益が損なわれないように配慮されることになります。これは管轄する行政サイドも一致した意見です。
 そのため現に入院している患者の病床は施設に付随するものとして認められることになります。しかし休床など稼動していない病床に関しては、そもそも患者自体が存在していないわけですから、患者の利益に関する議論も成り立ちません。
 よって休床や実際に稼動していない病床は、施設売買の場合病床として認められないことになります。

【病床の取り扱い】
法人売買⇒休床・稼動していない病床も認められる
施設売買⇒休床・稼動していない病床は認められない

 詳細に関してはメディウェル通信クラヴィス302号で紹介します。

【コンサルティング事業部 関原京輔】



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