2009年07月31日

■MS法人の役員兼務は?

■MS法人の役員兼務は?

 都内のある医療法人理事長から、「今回MS法人を立ち上げ、社長に就任することとなった。問題ないだろうか。もし医療法に抵触するのであれば、現在医療法人の平理事である妻を社長に据えたいのだが」という相談を受けました。
 結論から言いますと現状の条件では理事長も妻の場合も社長に就任することはできません。

 というのも医療法人の役員は、利益相反する営利企業の役員には就任することはできません。そのため理事長であろうが理事(平理事)であろうが、原則的にはMS法人の役員になることはできません。各都道府県では病院運営に関する手引きに類する冊子が出されています。その中の関係箇所を抜粋してみます。

【役員変更届】
医療法人の役員を変更したときは、役員変更届により、知事あてで保健所に届け出なければなりません(医療法施行令第5条の13)
なお、医療法人と取引関係にある営利企業の役員職は、その医療法人の役員になることはできません。

監事の責任が重いことを
認識してほしい
 そもそもMS(Medical Service)法人は、医療法人と密接な関係(出資割合、取引内容、資金供与、人的交流など)を持つ営利法人を言い、医療法人が規制等で行えないような業務や節税などの目的等により作られていると定義されています。しかし平成19年4月1日(実質的には平成20年4月1日)の医療法改正によって、医療法の改正の理念として“非営利性”が強調されました。そのため配当類似行為などが問題となったのです。そのため役員の兼務はできないことになりました。
 つまりMS法人の役員(取締役・監査役)が医療法人役員(理事・監事)にあるとすれば、すべてが上述の違反で、いずれかの役員を辞任しなければなりません。
 しかももしこのような事実があるとすれば、監事は理事等に是正を求め、聞き入れられない場合は、監事報告書・(4)監査結果で法令違反として限定意見又は不適法(正)意見を付さねばなりません。
 ここで問題なのは、もし上記違反があった場合、このような手続を取らなければ、今度は監事が責任を問われるということです。監事は病院理事長の友人や親族といった名ばかりの役員が多いと聞きます。それは多分に互いの信頼関係によることが多いでしょう。そのためもし上記ケースで行政処分がなされれば監事にも迷惑をかけるといったことも生じます。そのため当該ケースの場合、役員就任は慎重に考慮する必要があります。

 現状ではMS法人の役員に関して、すべての利益相反する営利企業のMS法人を調査し、もし兼務しているのであればどちらかの役員辞任を迫るほど行政の指導が徹底しているわけではありません。しかし何かの機会、例えば役員変更などの場合には、間違いなく行政指導がなされるはずです。

【コンサルティング事業部 関原】



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