民間中小病院はどこにいくべきなのか。
 昨年4月のプラス改定の「追い風」の影響が少なかったとされる民間中小病院の間に当惑が広がっています。
 特に当惑しているのは内科系一般病院、精神療養病院、医療療養病院です。
 内科系一般病院を考えた場合、外科と救急対応に傾斜した評価が財源の制約と相まってプラス改定の影響が作用しないためです。
 医療のあり方に歪みを生じさせる改定のあり方と同時に、一般病院特に民間中小病院が考えなくてはならない課題は何か、それを考えたいと思うのです。

 「市民は高い医療の質を求めているから大規模(高次)急性期病院に行く」(1月13日に都内で開かれた全日本病院協会50周年記念講演でのジャーナリスト田原総一朗氏の発言)のは当たり前だという感覚が市民の間に広がってきています。
 医療技術の高度化がもたらしたものは医療費増だけではなく、医療技術の進歩を背景とした画像診断機器などを導入できるどうか、それが医療機関経営の分岐点となる様相を強めていることにもつながっています。同時に機器投資負担が経営を圧迫しているケースも現れています。
 民間中小病院の難しさはここにあります。高度医療を目指すのかどうか。この点が急性期担当なのか亜急性期対応なのかという形に置き換わっている点に問題が潜んではいないでしょうか。
 このためどんな急性期医療を担当しているのか、しようとしているのかが曖昧なまま、急性期医療担当が語られる傾向が見受けられます。
 その結果、過度に高額医療機器導入を急いだり、不必要に電子カルテ導入を急ぐ傾向も見受けられます。患者実態とは関係なく、電子カルテ導入が病院存続の通行手形のように考える傾向すら存在しています。

必要なのは患者実態。慢性期患者対応などに
関心が払われているのかどうか
 いま多くの民間中小病院、特に内科系病院に求められているのは本来の早期段階、あるいは軽症段階での入院対応であり、それによる短期入院の実現です。したがって高次急性期病院との連携が重要な経営ファクターとなっていきます。これができないと最初から高次病院を受診しようとする患者の意識と傾向に歯止めをかけることはできません。身近で、かつ、すぐ対応できる体制で市民に安心を保障できるかどうかが重要となっているのではないでしょうか。
 また、慢性疾患が中心となっている時代背景から、満足度の高い医療・看護(ケア)の提供が期待されています。
 この場合、まさに治療最優先で短期対応が求められる高次急性期病院との対比で、民間中小病院、特に内科系一般病院の強みといえる領域ではないでしょうか。
 その場合、リハビリテーションと一体化した医療提供の持つ重みはますます大きくなっていくと考える必要があると思います。
 高次急性期病院にとっても歓迎されることに違いありません。

 先日、ある病院で講演する機会を持ちました。10対1入院基本料を算定する病院でしたが入院日当単価が著しく低いのが特徴でした。入院基本料を除いた出来高点数は1日あたり1万円を切るというと理解いただけるかと思います。それが軽症患者の入院に対応した結果なのか、あるいは患者負担を大きくしまいとしている結果なのか、その検証が経営戦略を改めて議論していく前提ではないかという提案をさせていただきました。
 また、医療必要度というよりも介護要素が大きい患者構成という場合には、介護保険対応に機能転換をしていく必要を提起しているのではないか、その検証をお願いしてきました。また、連携関係の広がりはどうなのかについて問題提起をしました。

 以上を踏まえた上で病院関係者、特に民間中小病院関係者に注目していただきたいのが、全日本病院協会病院のあり方委員会報告書の最新版です。本年3月公表をメドに鋭意検討が進んでいます。同報告書は2025年度を念頭に作られることとされています。
 その意味の説明は省きますが、そこでは地域(生活圏)にとって存在感のある中小病院のあり方を以前から提唱している「地域一般病棟」の考え方を用いて、より分かりやすい方法で示そうとしています。是非参照していただきたいと思います。

 関心のある方は、先に公刊された「全日本病院協会50周年記念誌」(非売品)に掲載されています徳田禎久病院のあり方委員会委員長、猪口雄二全日病副会長の論稿を参照いただきたいと思います。
 
【同記念誌についてのお問い合わせ】
 全日本病院協会  03−3234−5165