この4月から回復期リハビリテーション病棟入院料に、看護職員配置13対1などを要件とする新基準が創設されます。
 自宅復帰率7割以上、13対1看護職員配置であり、そのうち看護師構成比率7割以上と13対1一般病棟入院料と等しいような内容が含まれています。
 回復期リハビリテーション病棟におけるリハビリテーション職種と連携した看護職種の役割が評価されたという受け止め方ができるものです。
 では、そのように手放しで歓迎できることなのかどうか。そのことが看護職種に突きつけられる改定でもあると私は思います。

実態はリハビリと無縁な処置看護のみ?
 どういうことでしょうか。
 残念ながら少なからぬ回復期リハビリテーション病棟における看護は、処置等「診療の補助業務」がすべてに近い内容に留まっています。
 機能訓練室に患者が行っている間、無人の病棟で看護職員と看護補助者が雑談にいそしんでいるという光景も決して珍しくはありません。あるいは日中は看護記録業務に専念しているケースも珍しくありません。

 4月改定の大きな特徴は、病棟類型の目的にかなった診療実態の病院には追い風が、それとは違う実態となっている場合には、診療実態にふさわしい病棟類型への転換あるいは病棟縮小を迫るところにあります。
 創設される回復期リハビリテーション病棟入院料1も、その象徴の一つです。
 そのとき、単に人員要件の一つとして看護職員が行うリハビリ看護の実質とは無縁に、数字合わせの対象として「看護職員募集」がされたとして、それは看護の誇るべき成果の表れなのかどうか。
 私はそうとは全く思いません。
 今、必要なのは24時間365日患者あるいは家族に寄り添いながら生活行為のすべてに関わっていく専門性の発揮であり、換気なども含む療養環境の整えと結びついた看護提供です。
 リハビリ職員と一緒に日中、機能訓練室で、あるいは病院の庭先や廊下などで生活行為に結びつけた看護とリハビリの生活援助行為が共同でされている光景を見せていただき、学ばせていただいている回復期リハビリテーション病棟は、実に限られています。
 リハビリテーションを看護とは違うものとなぜか考え一切タッチしないことを当たり前と考える看護観の変質とあわせ、創設される回復期リハビリテーション病棟入院料は、そのことを看護界に強く問いかけるものとなるのではいでしょうか。
 そうしなくてはいけないのだという思いを強くしています。
 百歩譲ってそれは問題ではないと考えるのであれば、日中は手薄にして朝夕の看護職員配置を手厚くする看護管理が実践されるべきでしょう。
 そうした看護管理がされている回復期は、全くと言っていいほど見受けません。
 また、経営管理職の皆さんには、次の視点を合わせた検討を御願いしたいと思います。
 提供している看護実態が、リハビリとの共同作業となっているのかどうか。
 ここから上位規定新設に伴う人員増対策にしても結論を出していただきたいのです。
 実は、ミックス型病院では、こうした回復期病棟のあり方に他ならぬ看護職員が眉をひそめているのです。
 離職率が最も低いのは回復期リハビリ病棟という病院がある場合、回復期病棟の看護管理の質の高さを証明するものかどうか。
 単に一番「楽をしている環境」の結果なのか、病院のモラルハザードを問うものと既になっていないかどうか。
 そのことを考えていただきたいと思います。

 私は看護とリハビリで経営改善のためのコンサルティングをし、方針化する一人です。
 何よりも看護の力と可能性を確信するものであり、教えられてきた一人です。
 だからこそ看護観の変質とリハビリを全く看護と切り離してしまう傾向が大手を広げている実態での看護職員配置を手厚くさせる施策導入の今こそ、正しい方向への転換を促すものにしていってほしいという思いを強く持っている、そのことを締めくくりに付記して問題提起にしたいと思います。