16日に迫った改定に伴う届出作業に医療機関は追われていると思います。
あわただしいときだからこそお願いしたいのが、各種届出に関する施設基準の再確認です。
特に再確認をお願いしたいのは、特定入院料を算定している場合の人員配置基準です。
いわゆる「1割以内の変動」事項に対する関心が、一般病棟入院基本料の場合と比較して残念ながら低いことを指摘せざるを得ません。
こうした事例がありました。
医療療養病棟入院基本料を算定している病院です。
かつての人員基準を前提に考えていたこともあり、基準を充足していると思っていたところ、実は1割以内の許容範囲を辛うじてクリアしていることが分かりました。
看護時間に着目していなかったことと、「1割以内の変動」ルールについて関心がなかったことが原因です。
このケースは未然に対策を打つことができた事例です。
次のケースは、ギリギリのところで対策を打つことができたものです。
対象は、中規模病院。認知症治療病棟入院料1を算定しています。
月半ばの時点で別の入院基本料のこともあり、偶然試算してみたところ、このままでは「1割超の変動」になることが確実であり、ランクダウンを余儀なくされることが分かった事例です。
ランクダウンとなるとどのような影響が生じるでしょうか。
この4月改定の数字で比較すると、次のようになります。
ランクダウンにより想定される減収額
=480点×50人×30日×10円
=7,200,000円
月額で720万円。年間にすると8640万円もの減収となる計算です。利益は全て吹き飛び、赤字経営に転落することは必至という数字です。
このケースでは、月半ばで別の病棟から急きょ看護職員を1名異動させることで事なきをえることができました。
経営層に施設基準への関心がない
ランクダウンした場合の影響が極めて大きいにも関わらず、なぜ人員配置基準に対する関心が経営層を先頭に希薄なのか。むしろ問題は、ここにあります。
第1の問題は、経営層が施設基準に対する関心と理解に欠けていること。
第2の問題は、看護職の側も制度をよく理解しておらず、届け出時点の基準クリアを前提に「今も問題ない」と考えていることです。
第3の問題は、こうした「空中浮遊」しているような中で運営されているにも関わらず、看護部はおろか医事課等関係する部門の相互確認する仕組みは全く考えられていないことです。
最大の問題は、ここにあります。
このため、適時調査の時点で施設基準を満たしていないことが指摘を受けて初めて分かり、届け出辞退、あるいはランクダウンと返還を求められることになりかねないのです。
特定入院料の世界だけの話ではありません。
実際、10対1一般病棟入院基本料を算定した病院で、夜勤の看護師配置基準を知らずにいた結果、多額の返還を求められたケースもあります。
たまたま適時調査で勤務表に基づく基本確認を始めてすぐ判明したと聞いています。
そのとき、指導官に指摘された意味を看護部は分からなかったと聞いています。
問題はそれほど根深いのだということを理解いただきたいと思います。
なお、回復期リハビリテーション病棟入院料1に対する検討が全国各地でされています。
その際、専従リハビリ職員については、疾患別リハビリテーション料を算定できないことを確認しておいていただきたいと思います。
時折、その点を誤解しているケースがあるようにも聴いているため、念のため付記しました。
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