「新しい医療介護福祉の連携をめざして―拡げよう繋げようリハケアの輪―」をテーマに10月11日、リハビリテーション・ケア合同研究大会 札幌2012が横串算敏医療法人渓仁会札幌西円山病院リハビリテーションセンター長・副院長を大会長に始まりました。
 大会初日の大会長講演、田中滋慶應義塾大学教授による基調講演などの企画プログラム、そして一般演題の発表を通じて強く印象づけられたのは、「時代は医療介護福祉連携」への取り組みが実践仮題そのものになっているという事実です。むしろ病棟など限られた空間だけで自分たちの医療介護の営みを考えているだけでは良い意味で済まない時代が訪れていること、患者あるいは利用者とその家族を含んだ恒常的な関係づくりがリハビリテーション・ケアに対する期待と成果をあげていくために必要だという参加者の共通した思い、このことが何にもまして強く感じました。
 また、その取り組みと実践の発展が、経営体の明日と地域社会の維持・成熟と一体の関係にあること、そのことを参加者は横串大会長の講演、田中教授の基調講演を通じ実感するとともに自らの課題としていく必要をあらためて再確認したのではないかと思います。地域包括ケアシステムは地域リハビリテーションとの融合の中で考えていく実現目標であるということを参加者は共通して確認したと思います。 それは鼎談(ていだん)「語り継ぐ地域リハへの想い」で澤村誠志日本リハビリテーション病院・施設協会元会長、浜村明徳同前会長が異口同音に呼びかけたようにリハビリテーション、ケアを通じた「まちづくり」への挑戦でもあります。
 また、そうした視点を持たない医療機関などの明日はないことを同時に示唆するものではなかったかと私は感じています。


回復期リハ前後含む
対応の必要を確認
 今回改定はある意味で回復期リハビリテーション退院後の患者・家族に対する関心の低さに対するペナルティ改定の意味を持っていたと私は受け止めています。だからというのではなく、実際の課題として「回復期リハ病棟の前後を含め、継続して考え実践していくことが求められている」(鼎談(ていだん)での浜村明徳先生の発言)に凝縮される形で、一般演題にも、病棟内だけで論じる報告よりむしろ退院後をにらんだ取り組みが多数をしめた事実にも反映されています。

 それを象徴する一つが本日予定されている特別企画シンポジウムの一つ「地域で生きること、地域で死ぬこと、それを支えること」です。「看取り」までを視野に入れた、あるいは「看取り」に対してリハ職種はどのような形でかかわることができるか、それが問われているという問題意識の反映です。ともすると院内それも訓練室内に世界が限られてきたイメージが依然として残るリハビリテーションですが、ケアとの連携を含め大きく変化を遂げようとしているのだということを感じました。
 それは医療経営の視点からも重要なことだと私は思っています。