10月1日現在の北海道における施設基準の届出状況を検証しています。
 まず、北海道の一般病棟入院基本料算定病院354について分布を見てみました。その結果、7対1入院基本料を算定している病院数は104。10対1は156病院。13対1は18病院。15対1は57病院です。また特別入院基本料算定病院は19という実態をあらためて確認しました。10対1以上の病院が占める比率は7割を超えます。病床数では8割を超えることは間違いありません。
 高次急性期病院の特定化を核心とした今回改定ですが、臨床現場は見た目には今までと変わらない状況が継続している実感を持ちました。次に簡単に分布と構成比を下記にまとめました。

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 ベースにしているデータは北海道厚生局によって10月1日現在でまとめられたものです。ここから指摘できる現実は、
 1 10対1以上で病院のほぼ4分の3占める
 2 「ランクダウン」現象は起きていない

という大きく2点です。

 考えられる理由は、大きく2つかと思います。
 1つは、二木立日本福祉大学副学長が指摘しているように、入院患者の実態から看護体制を「手薄にすることはできない」事情があるだろうことは想像するに難くありません。同時に、例えば7対1から10対1に変更することは「急性期病院から脱落させられる」という臨床現場の危機感、むしろ恐怖感と表現したほうが良いかもしれません。後者には、高次急性期と一般急性期、あるいは地域密着型病院が担当する急性期患者像を混同して考えている問題があることは否めません。ただし、現状がクリアに分かれているわけではない実態を考えればあながち責められることでもありません。
 今後の機能分化・連携の議論が、こうした診療機能の違いとそれぞれの意義と役割をはっきりさせる方向で進むことを期待したい――その想いをあらためて強くしました。
 なお、機能分化と連携の進行という意味では、救急搬送患者連携紹介加算と同受入加算届出に注目しています。本年10月1日現在の届出状況は次の通りです。

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 今回改定で併算が認められたこともあり一気に増えています。受入加算届出病院の増加は特筆できることではないかと思います。このことが現実の救急対応の機能分化と適切な対応体制の確立につながっているか、結論を出すにはまだ時間を要するとは思います。しかし機能分化・連携への対応が進んでいる状況を示唆していることは間違いないのではないかと思っています。