2025年を見据えた「機能分化・強化、連携」を目的としたスタートの年が間もなく幕を閉じようとしています。同時改定に象徴された本年は、歴史的転換点の年として記憶されるのではないでしょうか。その理由は、医療機関発信の「地域包括ケアシステム・ネットワーク創出」の取り組みが医療・介護、さらには福祉を含む実践課題としてはっきり確認されたところにあります。参加させていただいた学会、全日本病院学会、日本慢性期医療学会、リハビリテーション・ケア合同研究大会 札幌2012などは、その象徴といまだに強い印象を持っています。
 政策命題として地域包括ケアシステムが打ち出されたことを一つの刺激剤としていることは紛れもない事実ですが、それ以上に地域社会が必要としている対応として医療・介護・福祉をネットした対応が必要とされており、医療機関がその担い手として躍り出ることが地域社会の再創生につながるという強い問題意識が前面に表れてきた、その刻印の年であったように思います。

 例えばリハビリテーション・ケア合同研究大会の企画プログラムの一つとして組まれた鼎談(ていだん)「語り継ぐ地域リハへの想い」。鼎談者は、いずれも地域リハビリテーションの先駆者として知られる方ばかりですが、そこでは過去の回想ではなく、次代に向かっての実践的課題は何かということと結び付けてこれまでの取り組みのエッセンスを伝えようとするものでした。
 また、全日本病院学会などの報告は、すでに機能分化と連携はこれから目指そうとすることではなく、現実の実践テーマとなっていることを示すものでした。
 「まちなか集積医療」という考え方が、また二次医療圏単位の人口見通しと高齢化の進み方から医療・介護ニーズの今後を考えていこうとする発想が広く医療界に浸透したことは、こうした動向と無縁ではありません。ここではケアとリハビリ機能、つなぐ役割として地域連携室とMSWは必須条件という考えもまた、行き渡ったように思います。
 院内にあってはチーム医療、院外に向かっては連携という形で患者のライフサイクル、あるいは状態変化の一連の過程に責任を持って対応していこうという発想の中から、全国各地にさまざまな形の地域連携ネットワークが誕生していることを実感しています。また、そうした担い手の皆さんの取り組みからどれだけエネルギーをいただいたかわかりません。心より感謝申し上げます。
 昨日(26日)も訪問した釧路市で、ある先生と療養介護の重要性と使いやすくするために直面する障害をどう克服できるのか、実践当事者の熱い思いと当惑に耳を傾ける時間を持つことができました。おそらくこうした実践の坩堝(るつぼ)の中から制度を生きたものにしていくことができる地域包括ケアシステムの構築というものも、このような問題意識と一体となって初めて実を結ぶのではないでしょうか。その思いを強くしています。わたくしどももまた、そうした実践に学びながら情報発信と提案などを行っていきたいとあらためて考えています。

 過ぎようとしている1年、皆さまには何かとお世話になりました。
 感謝申し上げますとともに、来たらんとする新年が皆さまにとって良き年となりますことを祈念し、本年締めくくりのメディウェル・ログとさせていただきます。
 ありがとうございました。