サービス付き高齢者向け住宅の供給数は増える一方で、個々のサ高住に対して独自性や競争力を求められています。医療依存度の高い方の受け入れや安心して療養できる環境、近隣地域の所得層等から導き出した住みやすい家賃設定など、入居希望者は様々な要素を考えて入居するかの最終判断をすることでしょう。各地の高齢者住宅を見させてもらう機会がありましたが、それぞれの施設で特徴のある住宅を提供しています。

 その中から、暮らしていくことの楽しみを提供することを考え、入居者が居室の外へ出る工夫を施したサ高住を1つご紹介します。ご紹介するサ高住は、北海道釧路市の医療法人社団支心(谷藤公紀理事長)が運営する「ホスピス・ケア ふわり」です。釧路市は、夏場でも平均最高気温が20度前後で冬場も降雪量が少ないと避暑地としても、近年、全国から注目されています。

居室の外に自然と意識が向かう
サ高住「ホスピス・ケア ふわり」
サ高住「ふわり」「ふわり」は、谷藤理事長が院長を務めるふたば診療所に隣接する形で2012年10月に全20室でオープンしました。「病気を治すのではなく、暮らしを楽しんでもらいたい」という思いから、他の居住者やスタッフとの関わり合いを持てるように工夫を凝らしています。
 居室といったパーソナルな空間だけで生活する高齢者住宅ではなく、居室の外である共同スペースも準パーソナルな空間として、居室から出たくなるように仕掛けています。

 カフェスペースでは、谷藤院長やスタッフと入居者が一緒に過ごせる空間を造っており、スタッフが提供する飲み物や入居者らとのイベントの開催を行っています。中庭を展望できるように壁一面窓と開放的な廊下は、幅が通常の廊下よりも広く3.6mあります。居室内からも、廊下の開放感を取り込めるように、光窓を設けています。共用部について長屋の井戸端会議や公園のような存在と位置づけて、居室から自然に意識が外に向くようにしています。

 こうした建物の造り方は、暮らしを楽しんでもらいたいという気持ちから生まれた発想だと思います。
 入居者の関わり方にも表れており、すれ違う入居者に世間話など声をかけていく谷藤院長の姿や、昼は入居者とスタッフみんなで食事を取っていること、入居者と一緒になって作り始めた中庭の花壇など、暮らしの楽しみを感じるきっかけ作りを行っています。もちろん、これらは強要するのではなく、入居者に選択肢を示して希望者が参加してもらうスタンスです。

 入居費用については、入居時の病状によって減額する設定になっています。月々の料金は食費や共益費等を全て合算して、標準の方は20万6000円〜に対して、末期がんの方は月額9万2520円〜、神経難病の方は13万9520円〜と病状によって負担を減らして、医療面などで負担が多い方が入居しやすい工夫をしています。

 「ふわり」については、クラヴィス最新号(6月10日号)でより詳しい内容を紹介しています。今回は特別に紹介ページを下記からPDFで見ることができるようにしております。掲載している写真からも、暮らす楽しみを提供していきたい”つくり”を感じることができると思いますので、ご興味がある方は一読頂ければ幸いです。また、患者さん等で入居のご相談等がある方は、医療法人社団支心(Tel 0154-23-3001、http://www.shishinn.com)までお問い合わせください。
【コンサルティング事業部 隅廣】