「手持ちが3,000円しかないので今日はCT検査などを見合わせてほしい」――。
 以前から意見交換をさせていただいている札幌市内の整形外科病院の事務長さんから一昨日の7日、お聞きした話です。
「診察前に窓口でこうした相談をされる患者・家族がこの春から増えてきている」というのです。医療の性格から一種の『間引き』医療などはできないことを説明し、当たり前の受診を勧めているものの、高齢患者を中心とした患者の負担感は北海道のように経済成長の波から少し離れている地域では、深刻に作用しているのかもしれません。「入院費の分割払いの相談をしたい」というケースも確実に増えているといいます。
 「ちょっと前までは全くなかった相談です」と事務長さんが嘆息をつきました――。

 いつしか話のテーマは未収金と受診抑制の二つに絞られていきます。
 前者については、『確信犯』と言える未収金患者さんに加え、新たに「余儀なく未収、あるいは分割払いとせざるを得ない層が広がっているのではないか」という議論となり、この間少し印象の薄れていた「医療機関の未収金があらためて増えているのではないか」という判断に行き着きました。
 後者はこれから現実性を帯びるのではないかという問題です。今、手持ちのお金に合わせた診察を頼むことは、やがてこの手持ち金もおぼつかなくなった時点で、外来から一時的であるか永遠であるかは別に姿を消す事態の訪れを予感させるものに他なりません。その影響は真っ先に保険者本人に訪れるのではないか、そのことを危惧することで意見の一致をみました。
 また、年収200万円以下という就業者が多数となってきている事情は、一面で医療が遠いものとなっていく環境を『成熟』させる方向に作用することも疑う余地がありません。

 九州のある医療法人理事長さんからお電話をいただきました(8日)。
 地元で増えている居住系施設などが地元の人間を対象とするものではなく、福岡県の裕福な階層を対象としたものであり、何々の運び代などいざ入居するといろいろな経費が請求される仕組みになっていることを憤られるお話でした。「これでは地域包括支援ネットワークなどできようがない」という憤りであり、一方でそうした経営を求める金融機関などに対して医療法人のあり方として疑問をあげることの難しさに当惑する声でもありました。
 地方が大都市を支えながら地域社会を再創生するという時、その対象となるのは誰なのか、こうした問いかけを欠いたところで例えば地方が都内の特養の受け皿となるということを語りうるのかどうか、そうした問題を提起する意見とも受け取りました。
 社会保障改革国民会議の報告書がまとめられたとの軌を一にしてあがる現実の声の一端が、これです。一見当たり前の『自助』の強調が見逃してしまいかねない問題を、こうした現場の声は指摘しているのではないか、その思いをこの数日強くしています。