次回改定に向けた中医協議論が佳境を迎える中で、病院のあり方が問われています。
 7対1入院基本料届出病院と病床数の多さから、高度急性期医療のあり方とそのシャッフルに焦点が向かいがちです。その中で民間中小病院の役割とは何かを考えた場合、いたずらに高度急性期を志向することが適切なのかどうか―私には疑問です。
 昨日(10日)、以前から懇意にしていただいている札幌市内の病院長と話しました。
 当たり前のことですが「日本は世界に冠たる重病人大国」ではないからです。その多くは一般急性期患者であり、今後は慢性疾患患者の占める比重が大きくなっていくことは疑いの余地がありません。
 医療技術の進歩などを背景に高度急性期病院に患者が移動していったことは事実と思いますが、高度急性期病院が在宅療養支援まで担当することはできません。高度志向という患者家族の志向を変えていくためにも、一部の単科専門病院などを除く多くの民間中小病院は、地域密着型の医療を提供していく意識性が一段と重要になってきているのではないか―そう思います。
「高度急性期は右肩上がり」の経営を保証するのか
 慢性疾患がますます比重を大きくする時代がやってきています。
 この時代、重視されるのは「治癒」というよりも「満足度」なのだと思います。そして高度急性期と異なる役割がクローズアップされているように感じます。高度急性期の患者が「右肩上がり」で増え続けるとはとても思われません。むしろ高度急性期病院間における集約化・特定化の競争が進むのではないかと思います。そこで「勝ち残り」高度急性期病院としての将来が約束されるのではないでしょうか。
 しかし、その過程は外来患者の縮小など高度急性期患者受け入れの限定であり、医療部会で提案された内容などを見ると、ひょっとするとそれ以外の診療機能を持つことは許されない過程の始まりにさえ感じざるを得ません。そのことを現実に地域住民に受け入れてもらうことはできるのでしょうか―私には疑問です。
 しかも消費税率の引き上げは、医療機器投資が相対的に大きく薬剤等の消費量も多いであろう高度急性期病院に重くのしかかることは紛れもない事実ではないでしょうか。実際、高度急性期病院密集地域であり人口減少地域にあっては、共倒れの危惧もささやかれはじめたのではないでしょうか。

 では慢性疾患に対応すればよいのでしょうか。一般救急対応をしないところでは地域に評価されない、地域密着の役割も取れないのだと思います。
 今回、中医協の取材を進めていて、強く印象に残っている場面があります。宇都宮啓厚生労働省保険局医療課長が事務局の立場ではありながら中医協総会で異例の質問を委員におこなった事実です。13対1等では退院の多くは「死亡退院」であり、状態急変時の対応は他院への転院という回答結果をどう考えるとよいのかというものです。
 データは医療機関からの回答によるものです。データの読み方の妥当性については当然中医協でも議論のあったところです。しかし、大きな問題を投げかけていることは間違いないように思います。多くの民間中小病院で一般病床を主として選択している場合、私は次の視点が大切ではないかと感じています。

・近隣の診療所、介護保険施設・介護サービス事業所等を支えていく役割が一段と重要になる
・医療を中心に継続性の看護・リハ提供体制が問われている(期待されている)

 つまり、退院後まで目の行き届く診療体制が必要であり、入院中は『総がかり戦』体制が必要ではないかと思っています。「総がかり戦」とは最近私が使っている造語です。入院中は治療、看護・ケア、リハビリテーション、栄養改善、口腔ケア、摂食嚥下、服薬管理、当然、臨床衛生検査技師、放射線技師、MSW・地域連携室等を含めた患者・家族への対応を進めようというものです。高橋泰国際医療福祉大学教授が高度急性期は「とことん型」とうまい特徴付けをされています。
 これに対して一般急性期は「総がかり型」を積極的に表現できなければいけないのではないかと思います。そのためには退院後の地域ネットワークの基幹施設、あるいは調整機能が必要とされるでしょうし、継続性の看護・リハビリ提供体制が問われる=在宅継続可能性を本人・家族が実感できる環境を入院中に実施する必要があるのではないかと感じています。
 その視点から注目しているのは先般、日医・四病院団体協議会が提案した「地域医療・介護支援病院」(仮称)です。説明は割愛しますが、退院後の訪問・通所・外来につなげていく必要などを強調している点がポイントです。そして地域連携室体制をとても大切にしています。地域の医療・介護サービス資源を結び付けていく、ネットワーキング機能を重視していることが今後の民間中小病院のあり方を考える上で示唆するものが多いのではないでしょうか。昨日、意見交換した病院長とも、その点で話がひろがったのでした。

 なお、このような問題意識で17日午後4時から弊社東京オフィスを会場に講演することになりました。詳細は下記URLからご覧いただけます。気軽にご参加いただければ幸いです。

【関東圏対象 第2回マネジメントスキルアップ研修会 「次回診療報酬改定の行方」