ややもすると院内にとらわれがちな医師の行動意識――そこから積極的に転換していこうという医師集団が誕生しています。
 私が注目しているのは回復期リハビリテーション病棟担当医集団の動向です。
 例えば一昨年北海道札幌市で開催された「リハビリテーション・ケア合同研究大会 札幌2012」(大会長・横串算敏札幌西円山病院副院長)では、回復期リハビリテーション病棟の担当医を務める医師が先頭となって次のような提起がなされ、職種の違いを超えて参加者一同の共感を得ています。
 提起された内容は、回復期リハビリテーション病棟担当医は、退院後の患者宅訪問を当たり前の診療行為としようというものです。退院後、実際の自宅環境でどのような生活を送っているのか、それを理解することは新たな入院患者・家族とリハ計画を策定していく上でさまざまなヒントを与えるものであることは間違いない、何よりも実際の自宅環境でどのような生活を過ごしているのか、そこまで目が届かない回復期リハ病棟であって良いのかという問題提起です。
 その考えは昨年11月に千葉県で行われた同合同研究大会千葉2013(大会長・梅津博道船橋市立リハビリテーション病院院長)に引き継がれ発展しています。「改善が困難な人々も社会参加し、生あるかぎり人間らしく過ごせるよう地域住民も含めた総合的な支援」を地域リハビリテーションの活動指針の一つにしています。直接の関わり、あるいは機能訓練だけがリハビリテーションを意味しているわけではないという視点を前面に押し出したものです。この考えは昨年12月のリハビリを検討議題とした中医協で厚生労働省も承認しています。

 こうした中から、例えば札幌西円山病院や宮の沢脳神経外科病院(札幌市)では、回復期リハ病棟の担当者が退院後も一定期間継続して訪問リハを担当する、あるいは訪問リハ担当者が退院前に病院で一定期間一緒にリハにあたる取り組みが行われています。
 特に注目したいのは、「実際の自宅でどのような不安を患者ご本人とご家族が持たれているのか、実際の生活環境の中で短期間集中リハビリを自宅で行い、問題解決と自信をつけ、短時間デイケアなどの訪問・通所あるいは外来リハにつなげていくことが必要ではないか」(橋本茂樹札幌西円山病院診療部長)という考え方です。「退院させればいい」のではなく「退院後の継続的対応こそが必要」という問題意識です。
 この点は次回改定で期待されている行動意識にもつながります。次回改定では退院調整関係の点数の充実が一つの特徴とされます。ややもすると「入院患者の追い出し」と受け止められる傾向があることは忌めません。
 しかし、退院後の必要に応じた医療機関の在宅訪問薬剤管理指導の実践を期待する提起などはその象徴とも言えるのではないでしょうか。さらに言えば退院後、あるいは再発までを視野に入れた、地域医療介護福祉ネットワークのキーセンターの役割を医療機関に期待するものであるとも言えるのではないでしょうか。それが回復期リハ病棟の中から反省を含め準備され実践に移されている――その事実から学びたいと思います。
 このような回復期リハ病棟の医師をはじめとする集団の対極に、次のような回復期リハ病棟が存在することも事実です。「入院時検査など不要。リハビリ単位数を上げることを考えろ」というだけの前時代の遺物です。病床稼働率はあっても退院後のことなどは視野にありません。単位数はありますが患者はいないと言って良いのではないか、私はそう思います。

 こうした中で次回改定を迎えることになります。
 地域包括ケアの時代、果たして地域に評価され支えられるのはどの医療機関なのか。その軽重が問われています。