かつてない医療提供体制の変革を促そうとする診療報酬改定から2カ月が過ぎようとしています。その中で一部の医療機関には「騒がれた割には影響はなきに等しい。次回改定まで無風の2年間が続くので安堵している」という声が上がっています。この受け止め方は正しいのでしょうか――。私にはそうは思えません。今回改定で影響がほとんどないとされる病棟類型を考えてみると、それは明らかだと思います。
 影響がほとんどないとされた病棟類型は、一般病棟入院基本料であれば10対1、13対1、15対1です。また、特殊疾患病棟と障害者施設等入院基本料、そして医療療養病棟入院基本料1・2です。これに精神療養病棟入院基本料と回復期リハビリテーション入院料2・3が該当します。
 こうした類型の多くは在宅復帰率など、より高い水準を求められた最上位類型と別のものであるという共通項に思い当たります。これは何を示唆しているでしょうか。いずれ最上位類型に設定された施設基準が導入されていくことを指しているのではないでしょうか。
 周知のように、今回改定では各病棟類型に在宅復帰率が設定されました。一般病棟入院基本料について言えば7対1に在宅復帰率75%以上が設定されました。しかし10対1等には設定されていません。

 一方、7対1の後方病床として設定された地域包括ケア病棟入院料は13対1看護配置を基本要件に在宅復帰率70%以上が設定されています。そのはざまにあって今後、在宅復帰率が10対1入院基本料等に求められないとは極めて考えにくいものです。
 今回改定では、7対1が“高度”急性期と「整理」されたことになっています。とすると10対1は一般急性期となります。そう考えると何が浮かび上がるでしょうか。
 「高度」急性期の在宅復帰率が75%以上であるならば,一般急性期のそれはもっと高い基準が設定されたとしても不思議ではなく、平均在院日数も短いものでも不思議ではありません。また、データ提出加算を要件付けられる可能性も高いと言えます。むしろ問題は、こうした準備を向こう2年間で終えなければならないというように立てられているのではないでしょうか。
 確かに10対1等では、一部の検査点数の引き下げ程度の影響にとどまっています。それは未来が保証されていることを意味しているわけではないと思います。
 そうした視点から今回改定をあらためて位置付けていただきたい――そう私は考えています。

 療養病棟入院基本料算定病院の今回改定に対する対応などについて『クラヴィス』5月10日号Q&Aで取り上げています。併読いただければ幸いです(『クラヴィス』お問い合わせ先:螢瓮妊ウェル 情報企画課:隅廣・米川)。

 なお「高度」、「整理」に「」をつけているのは、私自身7対1が高度急性期の人員配置と言えるのか疑問があるためであることを付記しておきます。