できるはずがない、地域包括ケア病棟
「医療療養病棟と介護療養病棟で構成される病院です。2016年度の診療報酬改定で療養病棟入院基本料1の維持が厳しい状況になってきています。2018年度の診療報酬と介護報酬の同時改定を考えると、病棟の一部を地域包括ケア病棟に転換したいと考えています。しかし、院内からは地域包括ケア病棟への転換ができるはずがないという反対意見も強いんです」

 こう話すのは大規模の療養系病院の事務部門の責任者。2016年度の診療報酬改定では、療養病棟入院基本料2の入院患者比率が新しく組み込まれました。医療区分2・3に該当する患者が5割以上でなければ、基準を満たさない状況です。医療区分の患者割合を満たさない場合、平成30年3月末までは所定点数の95%の点数で算定できますが入院収入の5%が下がる影響は多大です。
 酸素療法の実施やうつ症状など医療区分の評価方法も変更となりましたので、療養病棟入院基本料1の病棟も影響があります。また、介護療養病床は平成30年3月で廃止されるのが決定しています。介護療養病床の廃止後の新しい施設類型も「療養病床の在り方等に関する特別部会」から提示されております。
 こうした療養病床や介護療養病床の影響が多い中で、「2018年度の同時改定以降も含んで考えると、今から地域包括ケア病棟を導入していく必要があると思うんです。どう考えますか?」と助言を求められました。


まずは院内の状況の把握を徹底して

gurafu 療養病棟のみで構成される病院で、地域包括ケア病棟を届け出ている病院も全国で何件か実績があります。地域包括ケア病棟を導入するにあたり注意したいのは、現状の院内の状況を把握すること、そして不足している施設基準や環境を徹底的に洗い出しておくことが必要です。
 施設基準を満たすために人的に欠けている部分や面積要件等のハード面で欠けている部分もあると思います。特に療養病棟で構成されていますので、看護師の配置基準が高いハードルになると思います。地域包括ケア病棟への転換に当たっては、病棟看護師の勤務実績も必要になりますので、最低限でも1カ月以上の余剰人材を抱える投資も必要になります。
 また、現在の入院患者を元に地域包括ケア病棟のシミュレーションを行うことは欠かせません。入院期間が最大60日になりますので、それ以上入院する場合は療養病棟入院基本料の1番低い点数になります。そうしたことも考えると、療養病棟よりも患者の入退院のペースは早めなくてはなりません。入院期間が短くなると、その分の新規患者を確保しなければ当然のことながら稼働率が低下してしまいます。入院患者の受入見込みと地域包括ケア病棟に転換する病床数の適切な部分を探ることが必要です。
 入退院の数が増えることに連れて、看護部門や事務部門のスタッフ達が入退院の対応を行う回数が増えます。日常業務の量が増えますので、そうしたところも勘案して状況の把握が必要です。


地域包括ケア病棟を導入で
患者数が増えることはない

 7対1入院基本料の要件の中に在宅復帰率がありますので、他院への地域包括ケア病棟も在宅復帰に該当します。そのため、地域包括ケア病棟を作るだけで急性期病院からの患者を受け入れることができると考える方もいるかもしれません。残念ながら、地域包括ケア病棟を設けるだけで患者の受け入れが急増した病院は少数派です。患者の受入れが増えた病院は、急性期病院としっかりとした連携体制を構築した上で増えています。そうした外部環境も踏まえて検討することが必要でしょう。

株式会社メディウェル 隅廣洋