第38回マネジメントスキルアップ研修会(会場変更後)

  8月9日、弊社主催「地域ソーシャルワークセミナー〜「病床稼働率低下」「空床対策」にSWに期待される役割は何か」をテーマに第38回マネジメントスキルアップ研修会の開催にあたり現在、大詰めの準備を進めています。

 
 第一部の講演を担当する者として重視しているのは、ソーシャルワークの基本的な考え方が「疾病治療」そのものから必要となっている事実です。

 近い将来、日本における認知症患者が予備軍を含め1,800万人つまり4人に1人近くが予備軍を含む認知症社会となるという予測がたつ現在、注目したいのは次の事実です。

 認知症の治療あるいは予防からも環境要因などの対策を欠いては、治療効果や予防効果を期待できない根拠が明らかになってきています。

「第一の提起」
 新たな時代として地域ソーシャルワーク基本論は、治療の視点からもソーシャルワークが前提として必要とされ、ソーシャルワーカーのみならず看護職、リハビリテーション職そしてケア・マネジャー、ヘルパー等の共同認識とされる時代となり、今現在実践の必要性を伝えたいと考えています。

 昨秋から意見交換を重ねる中、ソーシャルワーカーから繰り返し提起いただいた「多職種連携・協同から多職種統合の時代」という意味を明らかにしていきたいと考えています。

  そして、このことは第二の問題提起と重なります。

「第二の提起」 
 地域包括ケア研究会座長を研究会発足当初から担われている田中滋先生(現在埼玉県立大学理事長)は最近刊行された岩波新書『医の希望』諸収「多世代共生社会に地域包括ケアを役立てる」の中で最新の地域包括ケア研究会報告書の成長・進化・発展に関連して次の指摘をされています。
 「幼児、学童、障害者、それらの家族など、尊厳ある自立のために支援を行うべき主体はほかにも存在する」と対象の拡大を意識するように変わっていきました。対象とすべき事象についても、身体的虚弱と認知症だけでなく、貧困・虐待・ネグレクト・セルフネグレクト・孤立・配偶者との死別による一人暮らしなどもあるというように広がりました。(岩波新書「医の希望」P172

 まちづくりを展開する上で(中略)これまでの地域包括ケアシステム論の中では社会福祉機能の位置づけが足りないとわかってきました。もし閉じこもりの原因が隣近所との関係性の悪さや貧困などだったとしたら、医療職・介護職は必ずしも全員がそれに対処する専門訓練を受けた専門職ではありません。こうした課題に対しては社会福祉技法の修練を積んだ社会福祉士などが機能を発揮すべきです。ソーシャルワーク、コミュニティワークの力を持つ職種が入ってこないと地域包括ケアシステムは完結しないとの理解です。(岩波新書「医の希望」P172

 私自身は福祉の関係から改めてソーシャルワークの役割を「強調しても強調しすぎることはない」と考察しています。この点の強調と理解を訴え、第二のポイントとしていきます。

「第三の提起」

 第三の提起は、ソーシャルワーカーを配置する経営的メリットの理解を得たいと考えています。
 地域包括ケアネットワークを深化、浸透、質の高さを進行さ
せていく役割を一体的に説明。
そして臨床現場の言葉、病院、有床診療所の取組事例
と実績を通じ役割を明らかにしたいと考えています。
 それは「入退院調整加算の件数増に精を
出すこと」を求めていません。
 加算点数で人件費の全てを賄う、あるいは賄えると説明することで人員手当の理解を得ようとする動きが一部にあります。
 そうせざるを得ない状況を理解した上で「質の高い退院後の機能」を担う関係づくりとベッド稼働率上昇による直接の収入増、そして地域社会から評価を高める事で得られる「将来的な評価」の説明をしたいと考えています。
 そうした活動から医療機関にとって地域ソーシャルワークを推進するための「外回りの時間をどう確保できるか」それが経営管理職にとって重要な視点となっていることを説明したいと考えています。

 最終準備の段階を迎える過程は、北海道医療ソーシャルワーカー学会や北海道病院学会の各種発表で前述した問題意識に確信を持つとともに背中を押される過程でもありました。
 想定をあっという間に超える参加申し込み、急遽会場設定の変更を図らなくてはならなくなったこと。北海道地域医療研究会の関係でお世話になっている札幌医療リハビリテーション専門学校様に快く会場利用の承諾をいただくなど惜しみない協力をいただきました。
 
 結びに事例の多くを時間の関係から紹介できない事、一部の医療機関様に事情を説明させていただき実例事例集を配布したい考えにご理解賜りデータを寄せていただきました事深く感謝申し上げます。同時に準備時間の関係から多くの医療機関様にご相談できず失礼となっていることを心からお詫び申し上げます。

 

719日記 株式会社メディウェル顧問 古川俊弘