事実上の本体改定率0.55%引き上げの方向性公表など次回診療報酬改定をめぐる議論が大詰めを迎える中で1213日開催された中医協総会に注目される論点提起が示されました。現在の提出データ評価加算についてゝ可病床数200床以上の病院の未コード化傷病名の割合の評価基準5%評価の継続と加算廃止許可病床数200床未満に対して評価基準5%の継続と加算評価の維持、という二つの見直しを論点提起しました。既に示されている許可病床数200床未満の療養病院などへのデータ提出加算要件化の対象の拡大とともにデータ提出を巡る動向は一段と高まり提出データの質の高さを求めるものへと転化してきているという受け止め方が望まれています。今後の医療提供体制改革に向けた方向性を強く示唆する内容をはらんでいます。
 公表された資料によると次回改定にあたり提出データ評価加算について「例えば」と断りながら許可病床数200床以上の病院について未コード化傷病名の割合評価を廃止し、許可病床数200床未満の病院については未コード化傷病名の割合評価基準を5%としたうえで評価を継続するというものです。つまり200床以上について未コード化傷病名5%以内は当たり前のこととして、一種の通則化を図るとともに200床未満の病院について精度の向上を促すことに課題は変化してきているという認識を強く示唆するものとなっています。また、その意味でデータ提出加算を届け出できるかどうか以上の段階に状況は変化してきていると強く示唆しています。


 ※「中央社会保険医療協議会 総会(第441回)議事次第」総−5.P52

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※「中央社会保険医療協議会 総会(第441回)議事次第」総−5.P53
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 急性期であるか回復期、(長期)療養であるかに関わらず日常診療の実態の「見える化」に踏まえた医療提供体制評価と再編・強化を進めていくことが改めて明らかにされています。形態としての機能分化・連携に留まるのではなく機能に応じた機能分化・連携を評価していく基盤を明確にしていく過程に入ったと私は受け止めています。 

 そのことをハッキリさせるために次回改定に向けたデータ提出加算を巡る動向を改めて振り返ってみます。

 

データ提出加算を巡る第一の動向(第7回入院医療等の調査評価分科会)
次回改定許可病床数200床未満療養病床等へのデータ提出加算対象拡大の方向性明確に提起
 データ提出加算を巡る動向の具体的口火を切ったのは第7回入院医療等の調査評価分科会です。
 9月19日に開催された同分科会では、まず2018年度診療報酬改定に係る答申書附帯意見として入院医療について「データに基づくアウトカム評価の観点から、より適切な評価に資するデータ提出項目の追加やデータ提出を要件化する対象病棟の拡大等について引き続き検討する事」とされていたことを冒頭に示し、データ提出加算を巡る自覚改定の議論の基本方向付けを行っています。

そこでは回復期リハビリテーション病棟5.6と療養病棟入院基本料200床未満についてデータ提出加算を要件化する対象拡大の方向が提起されました。さらに「現在データ提出加算の対象とはなっていない地域一般入院基本料等についての取り扱いを検討すべきではないか」と提起されています。 

 何よりも注目したいことは、許可病床数の規模に関係なく少なくとも療養病床と回復期リハ病棟(病床)についてデータ提出加算の要件化を図る方向を明示したに等しい事実です。さらに対象拡大の方向と関連して地域一般入院基本料、障害者施設等入院基本料、特殊疾患病棟入院基本料等についても視野におく必要をハッキリと示しました。

 データ提出加算の届出と無縁な病棟類型は基本的に存在しない考えの明確化です。

 そうなると議論の方向性はどこまでを現実の実態から対象としていくか手順をめぐる段階論と、元々急性期対象から出発したデータ提出加算であるため入退院が少ない療養病棟等での評価をどう見据えるかなどの議論の組み合わせという方向に向かざるを得ません。実際、そのように推移していくことになります。

 

200床基準とした病床機能再編の問題意識はここでも貫かれている 

 簡単に指摘すると、ここでも200床を基準とした医療機関の機能分化促進を前面に押し出してきている事実です。ほぼ確定したかと思われる紹介状なき患者の大病院受診時の追加加算対象を現在の許可病床数400床以上から許可病床数200床以上に見直そうとする病院機能分化との強い政策意思を事の当否は別として、反映していることは確認しておきたい事実です。
※ 単純に許可病床数200床かつ総合的診療機能で病院機能分化を考える問題意識に対して、私は民間、官公立含む中小規模病院の果たしている役割、あるいは単科専門病院が果たしている役割に対する過小評価について疑問としていることを付記しておきます。 

これを受けて200床未満の療養病棟・病院は経過措置があるとしても次回改定ではデータ提出加算の要件化は避けて通ることはできないという問題意識が醸成されたことは間違いのないところです。

 つまりデータ提出加算対応は経過措置病院ばかりか非該当病院も共に急がれる課題であることがクッキリと示されたことを意味しています。

 次回改定施行の来年4月からおそらく1年間の経過措置が設定されると思いますが、この経過措置期間は「時間的ゆとりがあるというよりも実は限られた挑戦の機会しかない」と考えるべきものです。この点は後述します。

※「2019年度第7回入院医療等の調査・評価分科会議事次第」入−1.P19

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データ提出加算を巡る第二の動向(103日入院医療等の調査評価分科会)
膀胱留置カテーテル留置状況と排尿自立支援指導料問題とした診療のあり方の見直しと結び付けたデータ提出を求めている 

 データ提出加算を巡る第二の動向として注目したいのは、膀胱留置カテーテルの留置状況と排尿自立支援指導料算定の現状に対する問題提起です。具体的には103日に行われた入院医療等の調査・評価分科会に提起された論点です。ここでは療養病棟入院患者24%に膀胱留置カテーテルが留置されていると共に施行患者の約75%が3か月以上留置されていること。また留置患者10%以上20%未満が最多であるとともに50%以上病院も存在していることを指摘しています。

 その意味はどこにあるでしょうか。

 留置していても短期間で外している療養型が多く、ここでは排尿自立指導料算定医療機関が多くなっています。その一方で半数以上の留置患者医療機関がある実態を強く問題視していることです。
 データ提出加算の対象拡大と結び付けて提起されているという受け止め方が必要だと私は思います。「状態維持で評価されていた時代から積極的状態改善、全身状態改善の実践」を期待する地域包括ケア・ネットワーク時代の療養病棟等のあり方を問うものであり、そういった療養病棟の将来を担保できるかどうか、それがデータ提出加算への対応という形で鋭く問われていると私は感じています。

 

※「2019年度第9回入院医療等の調査・評価分科会議事次第」入−1.P27

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※「2019年度第9回入院医療等の調査・評価分科会議事次第」入−1.P34
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データ提出加算を巡る第三の動向(1122日中医協総会)
新規急性期入院基本料届け出時取扱い問題提起、対象拡大に伴う課題解決議論進む

 データ提出加算を巡る動向の第三の指標は、1122日に行われた中医協総会に提出された「データ提出加算の対象となる入院料に係る論点」です。ここではデータ提出対象の拡大が論点の冒頭に置かれたばかりでなく急性期一般2〜7と回復期リハ病棟1〜4の許可病床数50床未満又は保有病棟1のみの場合、そして回復期リハ病棟5及び6と療養病棟200床未満の病院を対象としたデータ提出が不要とする経過措置の終了を真正面から提起しています。その上で回復期リハ病棟5、6と療養病棟の許可病床数200床未満について一定の経過措置を設けつつ、データ提出加算を要件にかかることを論点提起しています。

 そればかりでなく対象拡大に伴う問題解決の仕組みとして新規急性期入院基本料届出にあたってデータ提出加算を届け出る場合、他の施設基準を満たしている場合にデータ提出加算届出まで長期間を要することから一定期間に限り急性期一般入院料7を算定できる(同時にデータ提出加算要件を満たせなくなった場合含む)一種の激変緩和措置に言及しています。
 つまりデータ提出加算への挑戦はもはや当たり前の時代基調に入っているという認識が必要とされています。

 

対象拡大とデータ提出不要とした経過措置終了を論点に、新規急性期届出や算定できなくなった場合の緩和措置提起 

 もう一度繰り返すとデータ提出加算の要件化拡大は事実上既定路線となっているに等しいといえます。対象拡大に伴う問題とした、特に療養病棟ではデータ提出加算の算定回数は今のままでは低くなるため病棟機能に踏まえた評価のあり方が論じられる必要があることはいうまでもありません。その点まで踏み込んできている状況に事態の変化を感じ取って欲しいと思います。

 

新規にデータ提出加算届け出には「約8ヶ月間」を要する、指摘は見逃せない届け出のためのポイント 

 さらにこの日の議論を考える上で重要なのは「データ提出加算を届出るまでの約8ヶ月間」という形でごく短期間で届出対応ができると受け取られている一部の傾向に対してクギを刺してる事実です。

 実際にデータ提出加算届出の支援業務を医療機関の皆様と進めてきた弊社の経験からもこの点の重要性は理解できます。あるいは1回で必ず受理されるという思い込みは実務担当者に対する過剰なプレッシャーとなっているだけに尚更です。

カルテ管理庫の存在を含め準備に相当な時間と院内全体の理解と協力が必要となるのがデータ提出加算です。普段の診療のあり方の見直しと病名のコーディングと記録など一つとってみても医師をはじめとする院内全体の取組なくして物事は進まない点について訴えたいと思います。逆にこの点に成功すると病院全体の活力を引き出す効果を是非ともご理解いただければと重ねて感じます。

※「中央社会保険医療協議会 総会(第435回)議事次第」総−2.P70

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※「中央社会保険医療協議会 総会(第435回)議事次第」総−2.P88
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データ提出加算を巡る第四の動向(12月13日中医協総会)

提出データの精度問う段階に入っていく過程の始まり、200床以上提出データ評価加算廃止と未満病院同加算届けで促進へ 

 データ提出加算を巡る第四の動向として注目されたのは1213日に開催された中医協総会です。

 ここでの注目点は、次回改定以降はデータ提出加算は通則化の方向に向かう事、むしろ時代はデータの精度の質を問う段階に入っていくことを示唆しています。

 具体的に見てみましょう。

 提出データ評価加算を論点として取り上げている事こそ注目されます。ここでは「許可病床数200床未満の病院にデータ提出加算の対象が拡大すること」という形で、もはやデータ提出加算の対象は病床規模に関係なく拡大されることは公知の事実扱いとされています。そして未コード化傷病名の割合の評価基準を200床未満について見直すためにどうするか。そのことを鋭く問うています。
 そして200床以上については同加算の廃止を提案しています。

200床以上の病院では未コード化傷病名の割合が3.15%となっているため、他方200床未満は未コード化傷病名の割合が平均7.85%であり、その割合が高いことを問題とし評価基準を5%とした上で評価の継続を提起しています。最終的帰着がどうなるかは別として、未コード化傷病名の精度の質を問う段階に入っている理解が必要です。

これからデータ提出加算に挑戦する医療機関はその次の課題ではなく一体の課題とした提出データ評価加算への挑戦が期待されているという事です。実際データ提出加算届出支援で最も大きな課題が傷病名のコーディングです。

 ※「中央社会保険医療協議会 総会(第441回)議事次第」総−5.P52

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 ※「中央社会保険医療協議会 総会(第441回)議事次第」総−5.P53
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  なお、しばしば頂く質問の一つに障害者施設等入院基本料算定医療機関に対するデータ提出加算の要件付けがいつになるのかということがあります。特に次回改定で要件化されるかについて理事長、事務長などから数多く質問を受けるようになりました。

 私は次回改定ではなく次々回改定での要件化を色濃く示唆するものに留まるのではないかと現時点では考えています。理由は10月13日に示されたデータによると障害者施設等入院基本料68,421床のうちデータ提出加算を届け出ているのは7,962床。11.6%に留まっているためです。むしろ要件化されるかどうかにかかわらず早期のデータ提出加算届け出に挑戦して頂きたいと思います。

 取り分け高次急性期直下型障害者施設等算定医療機関については適切な診療行為評価をさせていくためにも早急にデータ提出加算への取組をしていただきたいと考えていることを付記しておきます。機能分化・連携の妥当性を実証する診療行為の明示。それこそが障害者施設等の明日をも保証するのだと私は考えています。

 そのような診療現場の医療実践の質の明示と適切評価、それを保証するものとしてデータ提出加算を活用していく時代でなくてはならない。それが私が教えられ支えていただいた医療機関へのお礼であり強い信頼となっています。

  そうした問題意識から来年4月を待たず診療報酬改定に伴うデータ提出加算をテーマとしたスキルアップセミナーを年明け1月24日(金)に開催することを決断しました。

 皆様の参加を願い本稿を閉じることとします。

   ※1213日の中医協での擬態的議論については当日のセミナーあるいは本ブログで紹介したいと思います。

 

第45回スキルアップ案内書

20191213(15日加筆)

株式会社メディウェル顧問 古川 俊弘