1129日、126日と矢継ぎ早に中医協総会で地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料が議題に取り上げられた。ここでの焦点は「特に規模の大きな医療機関については、自院の一般病床からの転棟に一定の制限を設ける事は妥当ではないか」という点に象徴されています。より具体的に言うと()都市部における大規模病院、特に病床稼働率とそぐわない公立病院に許可病床数の削減を迫るものだと思います。その問題を 崙辰傍可病床数が200床以上の医療機関において【自院の一般病床】からの割合の高さ」と転棟割合の制限がないこと、DPC対象病棟からの転棟が病期の変化というよりも診断群分類区分の点数が地域包括ケア病棟入院料の点数を下回るタイミング、という大きく二つの指標を問題としてきています。

 ここで関心を払っていただきたい事は許可病床数200床をメルクマールとした病院の機能分化を図ろうとする次回診療報酬改定に向けた強い政策意思の存在です。それが高度急性期(それに対応するのは総合診療機能を持つ病院への特定化という発想)であり、それ以外には基本的に軽症急性期から回復期に対応する機能を求めるという医療提供体制の改革と一体だということです。

 何よりも病床稼働率が許可病床数に対して複数病棟単位の削減が可能であるにも関わらず許可病床数至上主義の立場から地域包括ケア病棟(病室)と組み合わせる事で稼働率対策を図ろうとする一部の大都市あるいは回復期、療養対応医療機関が整備されている中核都市の公立病院のあり方を鋭く問うものです。

 次回改定は、そうした政策意思の前回改定を継承した改定であり2024年以降にわたって行われる改革の一里塚と考える必要があるのではないかと私は受け止めています。

 その意味で公立病院に留まらず民間医療機関にあっても担当機能と病床数の適正化という課題が提起されている事は疑う余地がありません。

   ※重症、軽症という急性期医療担当の機能分化はあって良いと思いますが、患者・家族は軽症であるかどうか適切に判断する事は困難です。従って「かかりつけ医」の役割が強く期待されると思います。ただ以前からあるように検査・診断機能が著しく改善された現状にあって、始めに重装備型急性期病院で確定診断と治療方針をまとめ、それを踏まえた「かかりつけ医」の適正管理との組み合わせについての議論を個人的には望みたいと考えています。

 

 

地域包括ケア病棟、地域一般入院料を医療職配置101配置基準とする議論期待

 

 では軽症急性期をも担当する地域包括ケア病棟を考えた場合、基本は151で良いとされる看護職員配置は果たして妥当なのか。この点についてもう少し掘り下げた議論が必要ではないでしょうか。

 「人員配置基準が緩和されるかどうか」というような安易な経営数字の議論では101看護職員配置基準を採用する事で医療安全の実感、細かな(社会的含む)ケアを実践してきた医療機関の心を捉える事は出来ないのではないか。

 地域一般入院料であれ地域包括ケア病棟入院料であれ少なくとも131医療職人員配置とし101配置までを評価する仕組みとした方が担っている医療機能の評価を含め医療機関の機能分化・再編を促す事になるのではないか。

その際、重要なことは看護職員配置だけでなくリハビリ、栄養管理、口腔ケア、入退院調整等のそれぞれの役割を担当する医療職全体の人員体制評価にハッキリと転換する事が必要ではないか。
 そのために常勤換算という形の積極的評価というメッセージこそ重要ではないでしょうか。

女性の占める比率が高い作業療法士や言語聴覚士、歯科衛生士、管理栄養士など結婚・出産後の現場復帰が常勤基準の障壁で著しく困難な状況を関係職種から多年に渡り聴いてきた一人として感じざるを得ません。

高度急性期段階からの退院後を見越した全身状態への視点が強く期待される中で、こうした職種の専門機能を保証する議論の立ち遅れを考えざるを得ません。
 それは一億総活躍社会を保証するものではないかと私はそう考えています。

 

 

特に地方中核都市における多機能化こそが期待されている

 

 地方中核都市における病院機能の多機能化は疾患治療管理から全身状態改善への転換、それよる地域住民からの評価と理解を進めるためにも必要ではないか。

 具体的名称は控えなくてはなりませんが、私の主たるフィールドである北海道のある公立病院では次のような取り組みがされています。

 人口1万人を割り込む公立病院ですが、そこでは介護福祉士を一般病棟に複数配置、入院生活中の生活リハの随時実践を行う中で院内デイケアの時間を創出しております。ベッドからトイレへの移動を含む排泄ケア支援を行う中で患者自身の意識変化と身体状況の変化を生み出し、退院後の訪問看護等と組み合わせる中で「ずっと入院させて欲しい」と希望していた家族が「変化」を感じ取り在宅(居宅)受け入れに向かうプロセスが生まれてきています。

 このことを北海道地域医療研究会で嬉しそうに発表された看護部長さんの表情を3年が過ぎた今でも私は忘れる事が出来ません。

 介護福祉士評価の問題なども残されており、院長先生等の理解と見識もあっての事かと思います。

 地域によってはリハ職が「いない」あるいは「限られている」。
 残念ながら北海道でそうした地域は少なくありません。

 医療介護提供体制改革を進めるというのであれば、リハ職と同様介護福祉士に代表される「医療介護職の病棟業務評価」を視野に入れた議論を進めて欲しいと思います。

 その問題意識を特に地方中小都市の官公立、公的病院に望みたい。

 なぜなら地元に機能分化・連携出来る他の医療機関が存在しない地域も少なくなく急性期から回復期、慢性期さらには介護施設機能までを含む必要性があるためです。

 ここでの疾患治療の範囲に留まらない全身状態改善への意識転換とそれを支える実践評価が必要です。

 そのための多機能化を今まで以上にリハビリ、栄養士、歯科衛生士など地域に埋もれた方々の復職を非常勤評価あるいは短時間正職員制度の推進等と組み合わせていく志向を助長して欲しいと私は感じています。

 先般のメディウェル・ログで簡単に紹介しましたが日本介護医療院協会がまとめた調査での居宅復帰率16%という数字が示唆していることは決して少なくないと思います。

 

 

2019129(一部13日補足)

株式会社メディウェル顧問 古川 俊弘