病院全体の組織のあり方、実態機能評価の性格浮き彫り


  4月に押し迫った次回診療報酬改定を目前に本日中医協総会が開かれ厚生労働大臣に対する答申が提出された。次回改定に向けて診療実態を踏まえた許可病床数の適正化と機能を支える病院全体の組織体制評価をしていく方向性が明確に打ち出されているのが大きな特徴である。その点を地域医療体制確保加算、(精神科)地域移行機能強化病棟を例に速報としてまとめた。提起した視点からそれぞれの改定項目の参考につなげていただければ幸いである。 

 

適切な労務管理条件に高度急性期病院の経営・勤務

環境改善促す地域医療体制確保加算520点新設

 
 個別改定項目の中でどのような点数設定となるのか注目されていた「地域医療体制確保加算」の点数が入院初日1回に限る520点とされることが明らかになった。救急医療に係る実績として「救急用の自動車又は救急医療用ヘリコプターによる搬送件数が、年間で2,000件以上」とされているように高度急性期医療を担っている病院を対象とした経営改善支援制度であることは明らかである。

 同時に注目したいのは、勤務体制の改善を事務職員までを含む全体構造について求めている点である。

 具体的に見てみよう。

 多職種からなる役割分担推進のための委員会又は会議設置が前提とされているとともに「現状の勤務状況等の把握」「問題点の抽出と勤務の負担軽減」などの対策を求めている。

 より注目いただきたいのは、次の事項である。

「連続当直を行わない勤務体制の実施」加えて「勤務間インターバルの確保」等が求められることである。

 詳細な記述は本日中医協総会に提出された資料「中医協 総-1個別改定項目について」の11頁から13頁、特に12頁を参照いただくとして次の点にご留意いただきたいと思う。

     多職種からなる役割分担推進のための委員会又は会議設置

     医師と医療関係職種、医療関係職種と事務職員等における役割分担の具体的内容(事務職員明記。入院の説明など医師事務作業補助などの機能イメージいただければ幸い)

     連続当直を行わない勤務体制の実施

     前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間の一定時間の休息時間の確保(勤務間インターバル)

である。

※連続当直を行わない、勤務間インターバル等の意義や具体的勤務体制について日本看護協会がいち早く参考資料を取りまとめている。自院の看護部長等に参考資料を求めて活用いただきたい。


現実には難しい課題ではあるが医師等の新規人員確保が必要ともなろう。

もちろん看護職員などにも及ぶことである。

 その際、常勤であるだけでなく非常勤の復職支援を含む採用形態の多様化を考慮いただければ幸いである。

 

[精神科病院]地域移行機能強化病棟継続

稼働率と在宅等復帰率強化で許可病床数削減迫る構造に注目を

 

 あらかじめ次回改定は無風に近いと思われた精神科領域では本年3月末日までとされていた地域移行機能強化病棟が期待された通り継続とされた。

 その点を歓迎したいとともにより重要なのは施設基準の見直しであることに強い関心を払っていただきたいと思う。

 答申のポイントとして押さえていただきたいのは、次の3点である。

 

(精神科)地域移行機能強化病棟要件見直しのポイント

     平均入院患者数に対する0.9規定から0.85への病床削減要件の強化

     在宅等への退院1.5%以上から2.4%以上への強化

     2名以上専従常勤PSW配置要件を専従常勤PSW1名と専任常勤PSW1名以上に要件緩和

 ここから受け止めるべきメッセージはどこにあるだろうか。

 
について。

 現行では実際の病床稼働率が許可病床数に対して0.9以上になるようあらかじめ許可病床数を削減することが求められている。

 それを0.85以上とするとはどういうことか。

 現実の精神病床の月末病床利用率が病院報告によると今85%前後となってきているからに他ならない(令和平元年7月分概数によると86.2%)。当初からそうであったたように「利用されていない許可病床数の全てを評価する制度ではないことである。

 とりわけ我が北海道にあっては精神科病院の多くが70歳以上の長期入院患者で占められており病床稼働率の低下が進んでいる。残念ながら短期入院型新規入院患者への転換がなかなか進まない状況があることを衷心から訴えたい。


について。

単純に許可病床数を削減すると高点数が得られるという制度設計ではなく、在宅等への復帰率引き上げという形で精神科領域においても「時々入院」形態への転換、減床評価を行うということである。

この点の理解こそ大切と思う。


について。

 制度の継続を目的とした許可病床数の実態に対応した見直しを促進するためPSW配置要件の緩和がされている。


 この三つの重ね合わせから「診療構造の意識転換を期待する改定」となっていることを受け止めたい。

 同様のことは病床数の「買い上げ」が話題となっている一般病床等にも言えることではないだろうか。

  ※具体的記載については前記資料の150頁から152頁を参照いただきたい。

 

 詳細な言及は改めてとするが精神科急性期医師配置加算が500点から600点に大幅に引き上げられることに関心を払っていただきたい。

 精神科を抱える大規模急性期病院等に対する経営支援の性格を持つが、医師配置体制の充実と診療機能の組み合わせによる経営改善支援という視点から併わせて検討いただければ幸いである。

 

 以上、本日中医協が厚生労働大臣に提出した答申の一部について速報をまとめた。引き続きレポートすることをお約束したい。

202027

株式会社メディウェル 顧問 古川 俊弘