125日に救急医療情報と脳卒中治療テーマに

北見市で市民フォーラム開催へ

 

「もしもの時」の安全に事前情報登録

 

 125日午後230分から北見市内のホテルを会場に「第15回オホーツク脳卒中市民講座」が行われます。感染症対策を十分に留意しながら開催されるこちらの講座は北見市医療福祉情報連絡協議会が主催する市民フォーラム「救急医療情報と脳卒中の治療」をテーマに開催されるものです。同協議会が北見市と北見地区消防組合と連携し、高齢者の情報共有する仕組み、「北まるnet救急医療情報」をこのほど発足させたことを受けて企画されたフォーラムです。注目したいのは誤解を恐れず強調すると「一般的な啓蒙・啓発」を目的とした講演会の域を超え、実際の救急現場で急務とされる「もしもの時」に必要な高齢者情報をどう仕組化するのかという問題意識です。在宅医療介護ネットワークの構築に取り組んでいる全国各地で患者情報の共有化を急ぐ反面「後景化」してしまっている「健康な市民」情報共有の試みは大きいと思います。

 

「もしもの時」必要な情報共有が目指されている

 

 では実際の「北まるnet救急医療情報」は、どのような情報を共有するのでしょうか。

具体的には氏名と住所、連絡先、病名と薬の情報、緊急連絡先、ケアマネジャーの名前、介護保険のサービス情報などが共有されます。「もしもの時」即座にこうした情報を救急隊、医療従事者、介護保険従事者が共有することができる意味は市民にとって大きいことは明らかです。
具体的対象者は、65歳以上の方や要介護認定を受けている方ですが登録すると、救急隊が現場に到着する前に緊急時の連絡先やかかりつけ医も確認でき、効率の良い搬送を期待できます。現在、全国で直面しているコロナ禍でこうした仕組みが起動できればと思いを募らせる医療・介護福祉関係者はもちろん、市民一人ひとりにとって情報セーフティ・ネットの意義は大きいでしょう。

 全国おしなべてそうであるように北見地区の救急搬送件数は増加傾向を示しており令和元年は6,030件を数えています。このうち高齢者の割合は65%を占めています。

 

病院間の機能分化・連携、集中示唆する

地域性生かした包括ケアネットワークの可能性
 

 さらに注目して欲しいのが、地域性(地域事情)を活かした地域包括ケアネットワークの可能性です。

「北まるnet」が想定しているのは北見市内だけではありません。

 紋別や遠軽、斜里などオホーツク全域からも時間ロスがなく安全に搬送されれば、救急救命士の判断で二次医療圏を超えて北見赤十字病院に搬送され、「t-PA」など超急性期の専門治療を受ける事が可能となっています。救急救命士の判断が象徴するように多職種連携・理解を前提とした地域包括ケアネットワーク時代の機能分化・連携のあり方ではないでしょうか。

 各地で取り組まれている在宅ケア連絡会などの取組が刻印されていると私は感じます。

 道内はもとより各地で地道に取り組まれている地域包括ケアネットワーク構築に関わっている皆さんに注目いただきたい理由はここにあります。

 

厚生労働省も情報共有化の工夫

来年220日に最新動向を大竹室長が講演

 

 その意味で関連して紹介しておきたい情報があります。

 現在、弊社では来年220日に「コロナ禍と医業経営」をテーマとしたスキルアップ・セミナーの準備を進めています。その一環として大竹雄二厚生労働省保険局 医療介護連携政策課保険データ企画室室長にご講演いただく事が確定しました。

 大竹室長様からはオンライン資格確認を中心とする医療介護情報等の共有とそれによる地域包括ケアネットワーク支援に向けた最新動向についてふれていただける見通しです。

セミナーの詳細は改めてご案内することになりますが情報共有化に向けた取り組みが進んでいる状況理解と確信を持っていただければ幸いです。

 

株式会社メディウェル顧問 古川 俊弘