新型コロナウイルス対応病床のひっ迫と医療崩壊が強く危惧される中で、この間、ポストコロナ患者の後方受入医療機関評価が相次いで変更されることになりました。昨年1226日付で日本慢性期医療協会(武久洋三会長)が公表した診療報酬上の取り扱い、厚生労働省保険局医療課との調整の結果です、「療養病床の施設を利用して受け入れる場合、人員配置を見直し医療法上の病床種別を一般病床へ変更できるか会員に伝えています。そうすると一般病床との取り扱いと同じ対応が可能であり「一部の事務手続きが簡略化される等、臨時的な取り扱い」がなされているためです。この判断が年明け122日に見直されました。臨時的取り扱い事務連絡の形で「一般病床以外でもポストコロナ患者を受け入れた場合」でも「救急医療管理加算1950点を最大90日間算定できる」ことが明確に示されました。

 人員医配置基準にこだわらず後方受入医療機関の切迫した必要性と役割発揮への期待感を強くにじませた対応であることは明らかでしょう。

これだけの高い点数評価がされたのは、言うまでもなく後方病床確保によるコロナ対応医療機関の負担軽減と患者・家族の前進機能の回復が急務などの現実を反映したものでしょう。
「遅きに失した」という印象は拭えませんが事態改善への強い政策意思をみたいと思います。何よりも日本病院会、全日本病院協会、日本慢性期医療協会などで構成する日本病院団体協議会や日本医師会の強い働きかけが結実したことも事実でしょう。


注目したい診療機能への期待


注目したいのはここで期待されている役割、機能です。
急性期病棟・病床での治療の長期化による全身機能低下の早期回復の必要とは、リハビリ機能と全身栄養状態の回復、それに伴う離床をはじめとする生活空間の回復・拡大であり入退院支援による退院及び退院後のフォローではないでしょうか。残念ながら高次急性期段階でのリハビリ機能の着目と評価は緒に就いたばかりです。感染防止の視点から多くのリハ職種のコロナ対応病室への入室そのものが難しくなっています。限られた専門職種対応を余儀なくされている中で日本慢性期医療協会の武久会長が危惧されていることも重要です。
武久会長はECMO装着重症患者が回復されたケースをもちろん喜びながら意識消失の1か月間で体重が20垓瓩減少していたことから低栄養状態が起きていた可能性について懸念を示しています。こうしたリカバリーの早急な対応の必要と後方受入入院の円滑化が急務であることを教えています。
療養病床のみならず一般病床で後方受入する場合でも同様の対応と機能拡充が求められることを意味しています。



2020
年度診療報酬改定と回復期リハ等療養病床
区分でデータ提出加算算定拡大の意味はどこに


 そんな問題意識から2020年度診療報酬改定を改めて見てみると、地域包括ケアネットワーク体制のさらなる進展に向けて「等しくすべての医療機関を一律評価」するのではなく「期待される機能拡充をしている医療機関」に限定して点数配分していく性格が色濃いことに気づかされます。今回改定では、例えばデータ提出加算を算定できる医療機関が拡大されています。病床区分上の療養病床から回復期リハや療養病棟入院基本料算定医療機関への拡大は象徴的です。療養病棟については入院期間が90日を過ぎる毎に算定できるとされました。長期療養の質の評価を現実の実践が評価されたものでありデータを用いた診療実績を問うものでもあります。
こうした診療の質評価の流れの中でコロナ患者後方受入を捉えていく必要があるのではないか。仮にすぐさま対応できないとしてもそう遠くない将来に向けた機能整備を目標とする考え方があっても良いのではないでしょうか。

Microsoft PowerPoint - 【全体版】令和2年度診療報酬改定の概要

 

複線化された療養病床区分の経営モデルに注目したい

 
コロナ対応後方病院機能を巡る動向を「療養病床(区分)病院の明日」という視点で振り返ってみたいと思います。ややもすると私たちは療養病床の明日の経営戦略という場合、

 <療養病棟入院基本料 → 療養病棟入院基本料 + 介護医療院>

の組み合わせに代表される病棟種別の再編で語ることが多かったように感じています。
今回のコロナ広報患者受入機能に対する期待は、次のような経営戦略もまた十分考えられることを示唆しているのではないでしょうか。

<療養病棟入院基本料 → 療養病棟入院基本料 + 地域包括ケア病棟 + 回復期リハ病棟入院料>

という3類型の組み合わせの方向選択もありうることを示唆しています。 

実際、そうした病棟類型再編を進めている医療機関の存在も全国各地でみられてきています。デイサービスなど在宅・居宅支援機能を新たに始められた医療機関も目立ってきたように思います。その際、キーワードとなるのは.螢魯咼蟲’臭栄養管理と口腔ケアC楼莽携室・入退院支援機能、などの拡充であり、それら全体を包み込む看護・介護機能が重要となるのではないか。

むろん、人員体制拡充は一朝一夕には進みません。

だからこそ今回のコロナ患者後方受入対応を積極的なきっかけとしていく視点から受け止めていくことも十分意味のあることと感じています。

こんなこともあり220日に開催するスキルアップ研修会では自ら3機能への病棟再編に取り組まれてきている矢野諭先生にそうした経験にふれていただける予定です。経営管理職のみならずリハ職種や栄養士、MSWなどの皆さんに関心を寄せていただければ幸いです。

 

202123日記 株式会社メディウェル顧問 古川 俊弘