今回の診療報酬改定は評価が大きく分かれる改定として歴史に刻みつけられると思います。
 また、どうしてもマイナス改定や急性期、慢性期を問わず病院に与える深刻な経営的打撃が論じられがちですが、一つ記録に残しておきたいものがあります。
 それは2月15日、改定の答申がされた日、中医協での邉見公雄委員の発言です。
 病院代表として初めて中医協の議論に石井暎禧委員とともに臨んだことを振り返りながら、邉見委員は「今回全く言葉としてもでなかった職種があります」と切りだし、医療ソーシャルワーカー(MSW)と臨床工学技士をあげ、院内で果たしている役割の大きさについて理解を求めるとともに、「次回改定にはデータをそろえて、その評価を求めたい」と結びました。


20060310

 

 

 

 

 

 

 

 言うまでもなく、MSWは地域連携の中心的担い手の役割が大きくなっており、医療福祉制度の専門家に留まらない重要な役割を担当しています。医療機器の適切な保守管理など医療の安全性と安心が強く求められる今、臨床工学技士の役割の大きさは臨床現場こそが知っています。
 だからこその邉見委員の発言です。
 今回改定で新設が決まった「褥瘡ハイリスク患者ケア加算」が、事実上専門看護師(WOC)評価と臨床対応必要性を反映したものであることも見逃せません。
 医師だけが専門性を期待されるわけではないこと、そのことを示唆し「褥瘡ハイリスク患者ケア加算」の新設実現を後押しする発言をされていたのが邉見委員と石井委員でした。
 日本病院会や全日本病院協会などで構成する四病院団体協議会が「地域一般病棟」という新しい概念を2001年9月に提唱し、その配置基準にMSWを明記した先駆的考えの発展上に、今回の発言があります。
 多職種協働評価の足取りが確実に早まっていること。
 そのことを邉見委員の発言は象徴しています。
 それは変わる中医協を象徴するものであるかも知れません。

※地域一般病棟については、四病院団体協議会高齢者医療制度・医療保険制度検討委員会報告「今後の高齢者医療のあり方について」を一読いただけると幸いです。この報告は、今回改定で問題となっている療養病床の取り扱いについても示唆深い提案をしています。なお、書店で入手しやすい文献として二木立日本福祉大学教授の著書『医療改革と病院』(2004年4月勁草書房刊)を勧めます。同書の167頁〜169頁に、その考え方と意義が簡潔にまとめられています。
 本の詳細は右の『医療改革と病院』をクリックして下さい。