マイナス改定に加えた紹介加算関係の廃止。
 さらに新たな入院基本料体系への転換に伴い看護職員配置を手厚くする必要に迫られるなど、経営状態のさらなる悪化を危惧する急性期病院が続出する中で、唯一の救いともいえる対応が具体化します。
 『救急医療管理加算』の算定要件が緩和され、事実上、救急医療実績を評価する内容に4月から大きく変化することが、それです。
 今回の改定にあたり、『急性期(特定)入院加算』廃止などの財源は全て急性期医療評価に戻す考えを厚生労働省は明言していました。
 その中で焦点となったのが『救急入院医療管理料』でした。
 当初は、現行の初日だけを対象とする内容を3日に延長することで了解を厚生労働省は求めてきました。
 これに対して「それでは全く戻すことにならない。『急性期特定入院加算』などを算定している病院は年間1億円から2億円程度の減収になる」と強く反発したのが今回中医協に参加した石井委員ら病院代表でした。
 その結果、2月15日の中医協では7日までカウントできると整理されたことは周知の事実です。
 実は単純に7日に算定日数が延長されたばかりではありません。

オペ

 

 

 

 

 

 

 

その後の交渉で、従来は二次救急病院群輪番制の担当日や、重篤な救急患者に限定されていた要件が緩和され、事実上、救急医療の実績評価に近いものに変更されます。
 要件緩和のポイントは、第一に緊急に入院医療を必要とする重症患者に対して救急医療が行われた場合に算定できるとされることです。
 第二のポイントは、救急医療を提供する日であることを、あらかじめ「地域の行政部門、医師会等の医療関係者及び救急搬送機関等にあらかじめ周知するとともに、社会保険事務局長に届け出た日」が対象となることです。病院によっては1年365日とすることもできます。
 第三のポイントは、対象患者の範囲が見直されるとともに、「準ずるような状態」規定が加わります。
事実上救急対応の医療実績評価に変化するという見方ができます。

 「『急性期(特定)入院加算』を算定していた病院は、これによって今回改定で予想された減収部分を相当カバーできるのではないか。そうした加算を算定していないものの救急医療に取り組んできている病院には増収効果となるのではないか」と石井委員は、急性期病院の経営打撃緩和効果に期待しています。

 今回の見直しは、急性期医療機関の属性として救急医療対応が一段と大きな指標となることを意味しています。救急対応ができない医療機関は急性期医療の当事者から退場を迫られることでもあります。

 しかし救急医療に力を入れるということは、一面では益々医師をはじめとする医療職員の負担を大きくすることにもつながりかねません。
 また、救急という極めて不安定要素に依存した病院経営を考える危険性も当然伴います。
 その意味で急性期医療評価を救急対応だけでカバーするのは、やはり限界があります。
 『紹介率加算』等の復活を期待するのは、私一人でしょうか。