形を変えた事実上の減床の動きが目についてきました。

 療養病床28床、一般病床94床………というように休床。

 入院基本料のランクアップや月平均夜勤時間要件のクリアーを目指すなど直接の休床動機は様々ですが、一般、療養いずれも病床稼働率が恒常的な低下傾向に入っている事情が作用していることは疑う余地がありません。

  また、看護師市場の変動がこうした動向を背中から押していることも明らかです。

 中には国立病院で64床休床という動きもあるなど設置主体の別に関係ない動きであることも大きな特徴です。

 

 では休床措置は一時的なものでしょうか。

 

 答えはおそらく“ノー”です。

 その理由は、DPCをはじめ平均在院日数短縮の動きは今後も続くことに加え、患者負担増による受診手控えの動きが今後も進むことはあれ、もとに戻ることは現時点では望めないからです。

 休床。

 それが事実上の減床への片道切符という性格を持つことは避けられないのではないでしょうか。

 もちろん休床という名の減床がネガティブなことだけを意味するわけではありません。

 実際の入院患者数や病棟単位の適正な病床配置という積極的な経営目的から選択され、将来への含みを残すため減床ではなく休床という選択をしたことは十分考えられるからです。

 こうした場合の対応は高く評価されるべきものです。

 

岐路に立つ小規模病院、過疎地病院

 

 同時に、次の傾向が見え隠れしていることも注目しておくべきではないかと思います。

 それは小規模病院が多い事実です。

 例えば許可病床数64床の病院は療養病床28床を休床。一般病床1病棟36床に切り替えました。

 入院基本料要件変更への対応として、看護単位を一つ(1病棟)にした方が効率的であることを意識した選択です。

 その意味で積極的な経営判断として評価されるべきものです。

 この病院は過疎地病院の一つです。

 療養病床の返上ではなく休床としたところに地元の複雑な胸中を垣間見ることもできます。

 私たちはそのことを忘れてはいけないと思います。

 

 また、許可病床数99床の病院が39床休床、1病棟60床に変更しました。

 全て一般病床の病院です。

 思い切った判断であることは間違いありません。

 

 18日、札幌市内で開かれたシンポジウムで主催者の一つ、北海道病院協会の西澤寛俊理事長が次の呼びかけを行ったことは印象的です。

 「小規模病院で一般と療養を持っている場合、どちらかに寄せることを考えた方が良い」。

 二次医療圏の全ての病院が特別入院基本料算定を余儀なくされている地域の存在などを背景に、地域医療の確保を目的に提案しています。

 つまり病床類型を一つにすることで1病棟での対応を可能とする。

 それにより特別入院基本料からの脱却を目指してほしいというアピールでもあります。

 

 岐路に立つ小規模病院。

 そのことを休床病院の増加は切実に伝えています。