日本の医療界のウィークポイントの一つに勤務環境をめぐる問題があることは残念ながら否めない事実です。そうした中で注目される取り組みが先週ありました。
 日本看護協会が初めて行った臨時の電話相談窓口の開設がそれです。労働時間管理に悩む看護管理者を対象とした「看護管理者のための労働時間管理相談 臨時電話窓口」を9月10日〜12日までの3日間、日本看護協会(坂本すが会長、略称・日看協)が開設しています。労務管理を目的とした電話窓口の開設は日看協として初めての試みです。おそらく医療関係団体としても極めて稀な取り組みと言えるものです。

 電話窓口開設の目的について日看協では、その趣旨を次のように説明しています。
 「看護職の離職を防止し働き続けられる職場にするためには、勤務環境の改善は欠かせません。それは看護職員のスキルの継続と医療機関の診療の質を担保することにもつながります。しかし、看護部門の人事労務管理を進める上では、労働関係法令や診療報酬算定要件をはじめ、多様な勤務形態のマネジメントなどの知識が必要とされます。看護管理は複雑で高度なものとなっています。特にマネジメントの最前線に立つ病棟看護師長など中間管理者は、多くの課題を抱えています」と。
 先行して取り組んでいるメールでの相談受付と合わせて直接話ができる機会を設けようとしたというのが、今回の臨時電話相談窓口の開設目的です。これは他職種にも共通する課題であり、対応しようとも残念ながら団体自身即応できるスタッフを抱えているケースは数少ないのが実態です。その意味で今回の日看協の取り組みは高く評価されるべきと思われます。
 3日間に寄せられた相談件数は11件。初めての取り組みであり、周知の時間の少なさを考えれば順当な滑り出しと受け止めるのが正しい判断と言えそうです。

夜勤・交代制勤務ガイドラインを受けた
実践的質問が寄せられる
 先に日本看護協会は、勤務環境の改善に向けた参考と【★ブログ用4補正済】P1010219して利用してもらう目的で、『夜勤・交代制勤務に関するガイドライン』をまとめました。
 電話相談ではそれを受けて、「勤務時間帯の変更を検討中であり夜勤時間16時間を13時間に短縮した場合の、所定労働時間との整合性の考え方を知りたい」など具体的な改善相談が早くも寄せられています。「平均夜勤時間数の計算期間を1カ月から4週間に変更する際の留意点を知りたい」などは、月平均夜勤時間72時間対応と夜勤職員確保の狭間で悩む看護管理者の息遣いを反映していると言えるのではないでしょうか。
 特に看護部体制が確立されていない多くの民間中小病院では、実は入院基本料の施設基準に対する知識の継承自体、十分に保障されないまま看護部長に就任するケースも少なくありません。また、院内に相談できる環境がないというケースも知っています。それだけに直接に話を聞くことができる機会が保証される意義は決して小さくないと私は思います。また、事務管理職などにも知ってほしい、活用してほしいと思います。

 日看協では今回の経験を踏まえ、今後とも相談窓口の開催を積み重ねていく考えでいます。私としてもぜひともそうしてほしいと思います。