新型コロナウィルスの新たな感染拡大が現実のものとなる可能性を前に受け入れる医療体制の再編成の必要が指摘されています。第一波における重症患者の急増と少なからぬ死者を生み出した口惜しさが体制整備の必要を医療(介護・福祉)関係者の共通の思いとして強く自覚されています。重責の連続と一部の心ない「批判」にもかかわらず、むしろそのことをバネに「より良い体制整備」に向かおうとする医療関係者に改めて私は頭の下がる思いを強くしています。
更なる感染拡大の現実性を前に何が必要とされているのか
新型コロナウィルス対応を巡る状況にあって医療関係者等の想像を超えた事態の一つとして外来をはじめとする受診抑制が強力に作用し医療機関の経営悪化を著しいものとしていることです。
医療機関の経営悪化は、新型コロナウィルスによってはじめて唐突に生み出されたもの
とすると重症患者の増大を含む予測対応で急ぎたいことは、基本的な社会インフラとして医療機関全体の(介護・福祉を含め)存続を保証する診療報酬評価であり、現実の急務として新型コロナウィルス受入病床、病室の確保であり、それに対する空床確保評価の仕組みです。
男女の別を考慮した病室・病棟確保が求められる病床稼働の不効率性はどうしても避けられません。稼働患者数を超えた配慮が必要であり、万が一予測を超えた増大が生じた場合の「余力」効果を期待する、安心の保証を地域社会のみならず患者・家族、医療機関とその従事者への安心につながると思います。
診療報酬で対応するのが良いのか、運営補助制度対応がよいのか、スピーディな対応の可能性を含む議論の余地はあると思います。がしかし、空床評価として現行の入院基本料の例えば2倍という設計がさしあたり時限措置としてとられた場合の政策メッセージ効果は決して少なくないと思います。
空床評価という発想は今まで決してなかった訳ではありません。
ICU病床確保と適正対応が問題視された20年ほど前でしょうか、そのような動きも一部ではあったのです。
その理論的最先鋒と思われた方(医師)の構想は次のようなものでした。
「ICUの特定入院料を3倍とする。対象病室の空床にも適用する。ただし非該当患者を入室された場合は入院単価を3分の1とする」という内容でした。
〜公的政策目的に伴う病室・病床確保のあり方とは何か〜
それを鋭く提起する内容と当時も今も感じています。
その後の事態は一定の入院料引き上げと非該当患者受入に対するペナルティ措置の強化に留まっています。
新型コロナウィルスへの新たな対応が問われている今、公的医療政策としての特定目的病床数確保を保証する評価のあり方とは何か、その視点での議論の一石となれば幸いです。
7月21日記
株式会社メディウェル 顧問 古川 俊弘
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